第2章 ‘‘清者”
部屋の外に出る。
「…うわあぁ…‼︎」
目の前に、夜の海に照らさし出された満月が映っていた。
晴れ渡った空だ。
雲が見当たらない。
「綺麗…! 久々に見たわ、こんな綺麗な海…あ、星もすごい‼︎」
「…上ばっか見ていたら、床で滑ってこけるぞ。」
「‼︎ あ、すみません…」
「…こっちだ、来い。」
ローが真鈴の手を握った。
「⁉︎」
ローの温かい体温が伝わると同時に、心臓が高鳴り出した。
「え、ちょ、ちょっと、ローさん⁉︎」
「なんだ。」
「なんだじゃなくて…‼︎」
真鈴はローから離れようとする。
…が、ビクともしない。
「何離れようとしてんだよ…。近くにいねェと知らねェぜ?…この船にはいない女が来たー…ってな。」
「⁉︎」
「ちゃんとついて来い。…入るぜ?」
いつの間にか、2人はさっきと違う部屋の前に来ていた。
ガチャリ、と音がし、扉が開く。