第15章 ヨゾラ島
「……っ」
「綺麗だったな…あっという間だったが」
「うん…‼︎ 最後の花火、あんなに大きいなんて…私の世界の花火がちっぽけなものに感じるよ…」
急に向こうの世界のことについての話が出た。
ローはピクリと薄く反応を示した。
「…向こうの世界でも、花火はあるのか?」
…ローは真鈴に、あまり向こうの世界についての話題を言わないでいた。
…真鈴の目的は、元の世界に帰る方法を探すこと。
いつか、戻る方法が見つかり、真鈴が向こうの世界に戻る日がくる。
そうなれば、イヤでも別れることになる…。
…そのことを考えたくなかったのだ。
(こいつと別れたくねェ…こいつがいない世界なんて、考えられねェ)
そんなローを尻目に、真鈴は話し出す。
「あるよ。…でも、こんなに豪華で、こんなに大きい花火は見たことなかった、な…」
…真鈴は向こうの世界のことを思い出した。
(私…ずっとこの世界にいるけど…あっちはどうなってんだろう…。それに、元の世界に帰れるのかなぁ…)
元の世界に帰るのはどうするか、と考えた瞬間、ズキンと心臓が重く感じた。
(帰るってことは…ローと別れないといけない、ってこと、だよね…)
ズキズキと心が痛む。
(帰りたいけど…帰りたくない…‼︎)
…そんな真鈴の想いを感じたのか、ローは真鈴をギュウと抱きしめた。
「ロー…?」
「……しばらく、こうさせろ。」
「うん…」
しばらくの間、2人はそのままの姿勢でいた。
…5分後。
「ロー…そろそろ降りない? ベポ達、明日の準備とかしているんじゃないの?」
「この後は自由時間にしてある。…もう少しこのままでいろ。」
「はーい…」
…また5分後。
「ローさん? そろそろ降りよ?」
「…まだイヤだ。」
「いや、嫌だとかじゃなくて‼︎」
…またまた5分後。
「ローさん…お風呂とかあるから、降りようよ…」
「……しつけェな…そんなに俺から離れたいのか?」
「そっなワケないでしょ‼︎ 私だって、ずっとくっつい…あ」
「ふ〜ん…ずっと、ねェ…」
ローはニヤリと口角を上げた。
「…っと、その…さっきのは例えで…」
「例え? 本心じゃねェのか…?」
また耳元で囁かれた。
ゾクゾクっと身体が感じてしまう。