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dcst 夢小説 短編まとめ

第1章 【氷月】ちゃんとお嫁に来て下さい


変なワードが返って来た。気の所為だろうか。

「……私の脳に焼きが回った様ですね。おかしな単語が出てきた気がしましたが」
「お婿さん。あ、でも家なんてもう潰れた様な物だから、普通に婿養子では無いから……んーー……じゃあ私ただのお嫁さんだよね?」

「「…………」」

二人の間に沈黙が降りた。居ても立っても居られなくなり、氷月は取り敢えず知らんぷりを決める事にする。

「何ですか、急に」
「え、だって決めたの氷月君じゃん。ほら、小学生の時の勝負。私が勝ったやつ」

覚えてる。目の前の相手は、完璧に覚えている。
「まさか覚えてないの?氷月君から言い出したのに〜」酷いなあ、とくすくす桜子が笑う。

「…………知りませんよ、そんな昔の話は」
「そんな昔の人間の事覚えてて、復活させたのは何処の誰ですかー」
「…………」

言い逃れは、出来なかった。
もうどうとでもなってしまえ。

氷月は目の前の女性を無理やり抱き抱える。
「えっ、ちょっと何処行くの!?」
「暴れないで下さい。無理やり寝かし付けるだけですよ。脳が溶けてる様なので」
「酷いなー」ふふ、と笑う彼女を他所に、現在地から一番近かった自身の寝室に入る。

「氷月君の部屋だー、相変わらずシンプルだね」
キョロキョロ見渡す桜子の首根っこを掴む。うえっぷ、という声を無視して無理やり布団に寝かした。

「さっさと寝て貰えますか。ちゃんと睡眠を取るのも仕事の内です」
「それはいいけど…ねえ、なんか隠してるでしょ」
「何をですか」「復活させた時に見えたよ。あれ、絶対私へのプレゼントじゃん」

ニヤニヤしながら桜子が笑う。流石の観察眼である。
「渡してくれるまで寝ませんー!」「馬鹿な事を……。そんな物、ある訳無いじゃないですか」「氷月は結婚記念のプレゼントも無いの?」「それくらい……」

あ。彼女の追求に、思わず口を滑らせた。どうも桜子の前では本音が出るらしい。彼女が満面の笑みで、ちょうだい?と言う。
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