• テキストサイズ

僕と彼女の共同戦線

第16章 おやすみの前に


「南ちゃん!それより、ほーらツカさんが見てます!南ちゃんの華麗な記者姿…!!」暴走する南の記者魂。
気を遣った葵が会話で誘導すると、司の方に南の注目が行った。

お静かにね~と言いながら司にお大事に、と言うと頭を抱える羽京の肩にそっ、と手を添えた。

「…行こう、羽京君」「あ…うん」
手をさらりと握る姿は、完全に『出来るイケメン』のそれであった。

******

司の話を聞いた後。石像の破片達をくっつけている杠達。「オレの罪がチャラになるんじゃね!?」と言っている陽も必死に作業していた。

「おい。杠手工芸チーム!」そこに、ひょこっと千空が現れる。「どうしたの、千空君?」作業の手を止めて、杠が問いかける。

「杠、葵もだな。針仕事だ。手芸出来る奴のヘルプが必要だ」
…司が瀕死の重症での、針仕事。
二人が立ち上がると、残された陽がえ、俺一人でやんの…?と戸惑った。

「杠は、このリストの持ってこい。葵、テメーは先にちょっと来い」

二人で千空に着いて行った先には……

手術台に乗せられた司。

やっぱりそうか……葵が内心で呟いた。

千空に静かな口調で話しかけた。
「……延命処置でしょ」「…ああ」
「…これは、医療用の瞬間接着剤とかかな」「ククク、軍師サマは話が早くておありがてーな。そうだ、これで一応外側を貼っつける」
そんな手芸みたいな…と苦笑いした。

「…うん。自分の身体だからよく分かるよ。手術は時間稼ぎーー敗血症で俺の命は数日だ」
司が息絶え絶えに言った。

【敗血症】…化膿した傷やできもの等から細菌が繰り返し体内に入り、循環して、重篤な全身症状を起こす病。

「……助かるとすれば、ひとつだね」「…ああ」

……石化後の、周辺修復能力。二人の脳内には、それしか無かった。

「…あれ」気配を感じた葵が入口付近を見やる。ーー小さな人影。もしや…
流石にこんな場所には来てはいけない。早歩きで入口に向かうがーー

ドンッ!!

手術用の荷物を持ってきた杠が、人影ーー未来にぶつかる。

「こーら、未来ちゃん。駄目だよ、お兄ちゃん気になるし心配になるのは分かるけど、勝手に覗いちゃ」葵がしゃがんで視線を合わせる。
/ 119ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp