第11章 最終決戦
むくりと上半身を起こした彼はまだ私の腰を掴んだままで。何やら嬉しそうにしながら何も言わない彼にしびれを切らした私から声をかける。
「何笑ってるのよ?」
「随分可愛らしい声で降って来たな。」
「…ウェンディのと聞き間違えたんじゃない?」
「お前の声だ。間違っちゃいねェよ。」
「どうだか。」
「ベットん中と一緒…、」
「何言ってんの!!」
「ルーシィ、クレアとラクサスがいちゃいちゃしてるー。」
「あのねハッピー、ああいうのは放っておくのが一番よ。」
「ジュビアもいつか、グレイ様と…。」
「ひ孫が見れる日も近いかもね、マスター。」
―もう、ギルドに顔出せないかもしれないわ。
恥ずかしさのあまり彼の上に乗ったままなのを忘れてそのまま肩口に顔を埋めた。すぐ近くでククッと喉を鳴らして面白がっている彼は、放っておくことにした。
何はともあれ、これで全て決着がついた。私たちは多くのものに打ち勝ったのだ。今度こそ大切なものを、家族を護りきれた。
何気なく見上げた天。浅葱色がどこまでも広がっていた。この空の下で私たちはまだまだ冒険を積み重ねるのだろう。家族で、歩んでいくのだろう。
「おーい!クレア!!帰るぞーー!!」
向こうでナツが呼んでいる。
その周りにはみんなが居る。
隣には誰よりも大好きな人。
その人にそっと手を引かれて家へと歩き出す。
ここが、私の帰る場所、妖精の尻尾。