第7章 再び
レイギエナは一瞬にして最初の目的の戦艦に辿り着いた。着地と共に飛び降り、直ちに敵の殲滅に当たる。まずは術式に砲撃をしている者からだ。
「水竜の砲弾!」
砲撃主とともに砲撃台も破壊した。レイギエナはそれを見届けると舞い上がり、空中で回転しながら戦艦に激突する。戦艦はいとも容易く破壊され、私は下に落ちていく。
「リオレイア!」
陸の女王の名を呼べば彼女はすぐに落下している私の下に入り込んで私を乗せてくれた。今度はリオレイアの背に跨りながら言う。
「レイギエナ、このまま戦艦を減らして!リオレイアは火球で応戦!」
レイギエナは新たな標的を求めて飛び去り、リオレイアは火球でいくつもの戦艦を破壊していく。
突如視界の端に砂柱が映る。半径数百メートルはあろうかと思われる巨大な砂の竜巻だ。その中にレイギエナとエルザの乗った戦艦の姿が消えるのを見た。
次の瞬間レイギエナの悲痛な鳴き声が耳に届く。
「レイギエナー!!」
あの子の翼はリオレイアのように強固な鱗で覆われてはいない分軽いが、衝撃には強くない。翼が破れてしまったらもう二度と飛べなくなってしまう。それにこんな砂嵐の中では詳細な位置が認識できないため強制送還もできない。
「…どこなの。レイギエナ…。」
私は成す術もなくリオレイアの背で呆然としているしかなかった。
すると砂嵐の中に一瞬だけ光が見えた。あれは―
「エルザ?」
ミサゴ隊からジュピターが発射され、砂嵐が晴れる。地に落ちていくエルザは無事だろうか。しかし今は、
「レイギエナ!」
少しふらついてはいるが、レイギエナが自分でこちらへと飛んできた。良かった、翼は無事のようだ。
「ごめん、ごめんね。ゆっくり休んで。」
レイギエナは気にするなというように優しく喉を鳴らして光となって消えた。しばらくレイギエナは呼べない。
「リオレイア、この戦いで貴方を傷つけてしまうかもしれない。でも、お願い。これは私の大切なものを護るためなの。」
陸の女王の咆哮が響く。ビリビリとした気迫を感じて私の覚悟も決まった。傷つくことを恐れていては何も護れない。
―私は誓ったのだ。今度こそ家族を護ると。