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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第21章 苦手を克服できたのは



「ここでいつも、分からなくなるの」


すぐに追い出す、そのはずだったのに

時間が経つにつれて、俺は自分の機嫌が悪くなるのを感じていた

想像していたよりもずっと
山田の教え方が上手かったのは大きな誤算だ

はじめは落ち着かなかった様子の彼女も
すっかり目を輝かせて山田と話している


自分が躓いていた箇所がクリアになるのも癪だし
何より彼女が「わかりやすい!」「すごい!」とこいつを褒めるのが我慢ならない

なんか距離も近くなってないか・・?
肩が触れ合いそうな二人に苛々が募る


「山田くん、教えるの本当に上手・・!」

「オレってば何でもできちゃうタイプなのヨ!」

惚れてもいいゼ?そう調子に乗る山田を睨みつけると
俺を見てにたにたと笑みを浮かべた


「ショーチャンご機嫌斜めかァ?」

それを聞いて彼女が俺を覗き込む


「私ばっかり教えてもらっちゃってごめん・・!」


いや、そうじゃないだろ普通、


「めぐ、朧バリの鈍感かよHAHAHA!」

お前は、わかってんなら帰れ・・


重苦しい雰囲気を変えたかったのだろう、彼女が休憩を提案した




「あ、でもアイス二人分しか無いんだった・・」

ここだ、追い出すなら今しか無い


「お前コンビニで自分の分買え、そんで帰れ」

「WHAT?!ここ数時間一番働いたのオレよ?!
 せめてオマエが買って来いよ!」

「あ?いよいよ殴られたいみたいだな・・」


こいつイカれてんのか?
お前と二人きりになんてできるわけないだろ


「わ、私が、自分の分買ってくるよ!」


「「それはダメだ」」

今にも取っ組み合いそうな空気に焦った彼女が俺たちの間に入ると、申し訳無さそうに山田に言った


「山田くん、あの、ここ相澤くん家だから‥
 家主は居た方がいいかも」

いっぱい教えてくれたのにごめん!と両手を合わせると項垂れた山田が口を尖らせた


「めぐまでオレを邪魔者扱い・・」

「もう用無しだってよ、おつかれさん」

「ち、違うよ!戻ってきて!ね?!」

しょんぼりと玄関を出る山田を不憫に思ったのか、彼女が必死に言葉を並べる


「山田くんが帰ってくるまで、アイス食べずに
 待ってるから!」

俺は先に食うよ、そう言うと彼女が睨んだ


「オイ相澤!鍵閉めんなよ?!」

「それはいい考えだな」
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