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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第21章 苦手を克服できたのは



夏の始まりを感じずにはいられない、日差しが降り注ぐ大通りをいつもよりも小さな歩幅で進む

守れない約束はしない、相澤くんがそんなことを言うから、今朝から心臓の爆音が鳴り止まない

駅前をふらりふらりと歩いては日陰でぼーっと座ってみたり

迎えにいくよ、という彼の申し出を断り
場所はわかるから大丈夫、と一人心の準備をしていた


そうだよね、それなりの歳頃だし

私だって相澤くんとなら何も、問題はない



はずなのに

いつまで経っても心の準備が整う気配はせず、約束の時間が迫る

とりあえず身体を冷やしたくて、駅前で二人分のアイスを買うと意を決して歩き出した




「大丈夫、大丈夫、」

深呼吸をして恐る恐るインターホンを押す

すると「おい!」という焦った彼の声が聞こえ、同時に凄まじい勢いで玄関のドアが開いた














「YEAHーーー!!やァーっと来たな!!!」

2分遅刻だぜ?、そう言ってサングラスをずらした彼が楽しそうに笑う

「っ、山田くん・・!」

じめじめとした暑さを吹き飛ばすその笑顔と声量に圧倒されていると、奥から相澤くんの声が聞こえた

「おはよ」

「おはよう・・」

てっきり二人きりだと思っていた自分が急に恥ずかしくなり、チラリと相澤くんを見ると
心底憂鬱そうに溜息をついている


「英語が苦手なめぐチャンに!
 今日はこのプレゼントマイク様が付きっきりで
 教えてあげちゃう!!」

「お前は呼んでない」

ドカッと山田くんを外に蹴飛ばすと
とりあえず入って、と相澤くんは私に手招きをした

「ん、顔赤いけど大丈夫?」

「今日、すごい、暑くて!」

全然二人きりじゃなかった・・!
死ぬほど恥ずかしい・・!!!

「お、お邪魔します」

「ウェルカーーーム!!!」

「うるさい、帰れ」


















最悪だ


元はと言えば、浮かれていた俺が悪い

英語の勉強をするなんて、こいつに言ったらこうなるに決まってる

二人きりで過ごす口実だから放っとけ、とも言えず

英語でお困りならオレでしょ!と、当たり前のように乗り込んできた山田をしぶしぶ家へ上げてしまった


普通わかるだろ、空気読めよ・・


「すぐに追い出すから」

彼女にだけ聞こえるようにそう呟くと、やっぱり紅い顔がおろおろと下を向いた
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