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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第20章 待つのは思っていたよりも




「おい、今からメシ行くぞ」



「・・オレ、何か怒られるコトした?」

一体何の心当たりがあるのか、声をかけると一瞬で青ざめた山田を引き摺って職員室を出る

昨日の誘いは無視した癖に、結局俺が頼るのはコイツなんだよな

都合が良すぎる自身の行動に多少の罪悪感が芽生え
今日は俺の奢りだ、そう低く呟くと
目の前の男は掌を返したように大声で喜びを爆発させた








「ハイボールひとつと、コーラひとつ」

「はァ?!車出したオレは足かよ!」

「るせェ、付き合え」

最初の料理が運ばれると同時に、まだ飲み終えていない酒の追加注文をすると山田が溜息をついた



「なーにがそんなに心配なワケ?」

たかが3日で何をそんなに荒れてんのよ、と
面倒臭そうに呟く


「お前も前聞いただろ、昔の男の話
 ・・そいつも来るんだと」

「あんなもんノーカンだろ?めぐが好きだっ
 たのは昔もお前だったジャン!」

「わかってる、だから行かせたんだろ」

「・・そりゃご立派なコトで」

テーブルに片肘をついてひたすら酒を進める俺を横目に、山田はつまみを平らげていく


「ま、職場も一緒だもんなァ、
 いつも目の届くところに居る安心感ってヤツ」


「俺が居ない時に危ない目にでも遭ったら、」

「九州だろ?ホークスが助け・・」

煩い口に焼鳥を突っ込み無言で睨むと
ホークスは多分オマエより強ェよ、と山田がにやにや笑った


「過保護な旦那サマを持っためぐも大変だなァ
 ・・だけどよ、」

そこで言葉を切り、焼鳥の串で俺を指すと真顔で続ける


「応援要請が来たら数日家を空けるなんて
 お前はザラだ、
 めぐがそれに文句言ったことあるか?」

「・・ない」

こういう時のコイツは悔しいほど的を得た発言をする

「しかも今回の彼女の旅行とはワケが違う、
 お前は常に死と隣合わせのオシゴト」

オレは偉いと思うよ、めぐのコト
そう言ってコーラを飲み干した



「ま、オマエが今どれだけ寂しくて心配でもよ、
 いつもめぐが耐えてるモンに比べれば
 何でもねーよ」

すぐ自分を犠牲にしようとする悪い癖、
ちっとは反省したらいいんじゃねェの?


そう言っていつものように笑うと
まァ今日は気が済むまで呑めよ、と追加の酒を注文した

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