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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第18章 甘い策には乗ってやれ



「僕たちからのプレゼントは、お二人の
 プチ結婚式です!!」

緑谷のその言葉を合図に歓声が起こり、大きなケーキまで運ばれる


皆が着席し俺と彼女だけがぽつんと真ん中に残されると、彼女がこちらを向いて笑いながら尋ねた


「ふふ、何て言われてスーツに着替えたの?」

「・・連合のことで警察のお偉いさんが来てるから正装で臨めって、校長が」

「っあはは!」

校長の姿を確認すると、すでにちゃっかりと大量の菓子を頬張っている



「さァて、お二人サン!!始めるぜ?」

つかつかと近づいてきた山田が俺たちの前に立ち
コホン、と大袈裟な咳払いをした


とてつもなく、嫌な予感がする








「HEYイレイザー!!これから一生めぐを愛し、
 どんな時も守り抜くって誓えるか?
 どーなんだ?答えろ相澤ァ!」


そんな格好してこの茶番、安定の拷問係が・・

これから自らが受けるであろう精神的苦痛を想像し悪寒がする


「・・マイクお前、さすがに恥ずかしくないか」

横に立つ彼女は肩を震わせ必死に笑いを堪えている


「ここに居る全リスナーに誓えンのか、って聞いてんダヨ!」

鋼のメンタルを持つこの男は、羞恥心どころかジェスチャーを追加して捲し立てた

「相当サムいぞお前・・」

最大級の溜息を落とすと、見守る生徒たちの視線を感じる

動画を撮る奴、爆笑寸前の奴、期待に満ちた目で見つめる奴・・


主役、というより晒し者じゃねェか



俺を喜ばそうと時間を割いたこいつらの気持ちには報いたい、そうだろ、そうだよな、何度も自分に暗示をかけ

ありったけの殺意を視線に乗せて目の前の男に言葉を放つ


「・・当たり前だ」

「ハァン?何がだよ」

「誓う、あとお前殺す」

そこでとうとう彼女が吹き出した



「めぐ、コイツはこう言ってるけどどうする?
 小汚くて無慈悲だけど根はいい奴なのよ、
 オレに免じてちょっとなら誓えそう?」

「お願い、山田くん!ふふ!もうやめて、」

笑いすぎて涙出る、そう腹を捩る彼女を睨みつける

「お前も笑いすぎだ、早く終わらせろ」

そう言うと彼女は目尻の涙を拭い、息も絶え絶えに言葉を紡いだ


「生涯、彼を支えることを、誓います」

それを聞くなり山田はグラサンを外し
「オレ、泣きそう」とほざいてゴシゴシと目を擦った
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