第12章 むかしのはなし
「まーたやってる、A組の3バカ」
「さん、ばか?」
食堂の帰り、教室の前の廊下であの彼とすれ違う
あの日以降当たり前だけれど接点は無くて
「白雲、山田、相澤の三人!いっつも馬鹿やっててうるさいの、ヒーロー科ってホント悪目立ちする奴多いよね〜」
気付かれないようにチラリと彼を見て、心底うんざりしている表情の友人にさりげなく尋ねた
「あの黒い髪の人は?」
「ん、あれは確か、相澤!」
アイザワショータくん、か
ヒーロー科に知り合いは居ないし、お近づきになるチャンスなんて無い
それに華のヒーロー科だもん、きっと彼もすごく人気があるんだろうな
「なになに、まさか相澤が気になるとか?」
「そ、そんなんじゃないよ!」
「医療系の進路希望者は、申込めばヒーロー科の演習見学できるらしいよ〜?」
「え、そうなの?!」
めぐわかり易すぎ!そう笑う友人を軽く睨み、申請用紙を貰いに職員室へと走った
———
「さァて!素直じゃない相澤クンに!俺ら二人が調べ上げた有益な情報を聞かせてあげよう!!」
いつもの溜まり場、晴れ渡る空を背景に怪しいメモ帳を掲げ「なァ、いくらで買う?」と山田がほざく
「・・いらねぇっつってんだろシバくぞ」
「聞きたくなけりゃ耳塞いどけHAHA!」
結局言うんじゃねェか・・
是が非でも聞くもんか、そう耳を塞ごうとした途端、あげた腕は背後で捻られ呻き声が漏れた
「ってぇなおい白雲!!」
「なんか俺・・ショータの腕捻りたい気分!」
「それどんな気分だよHAHAHA!」
こいつら・・!
まあまあ!とりあえず聞けよショータ!、白雲がいつものように楽しそうに笑った
「1年C組 薬師めぐちゃん!」
好きな色は薄い紫、持ち物にその色が多い!
好きな食べ物は甘いもの、よくお菓子を食べているらしい!
好きな飲み物は不明!好きな教科も不明!
いやクソみたいな情報だな、よくもまぁ得意気に・・
「そんでもって、個性は”処方”、・・処方ってなんだ?」
「触れた奴の健康状態を把握するんだと」
処方ってことは、足りていないものを認識する感じなのだろうか、そこまで考え我に返る
「「ぶっ!!」」
顔を上げると同時に前後の二人が大きく吹き出し、俺は自分のアホさ加減に絶望した