第11章 それは誰のせい
「相澤くんは何も悪くない、私の過ちだし、私が判断したんだよ」
こんなに想ってくれるこの人になら、あの時そう腹を括ったのは私だよ
腕の中で必死に言葉を紡ぐ彼女の瞳は、言葉通り全てを乗り越えたように見える
「・・だとしても、それはそれで不愉快だな」
そう低く呟くと彼女は困ったように微笑んで、ゆっくりとその柔い唇を啄むと少しずつ気持ちが凪いでいく気がした
「何ひとつ後悔してないよ、大丈夫」
真っ直ぐに想ってくれたあの人に初めてをあげたこともね、なんていつも通りの悪戯な笑みが浮かんだ
「それは余計だ、そいつは俺が絶対殺す」
名前と職場教えろ、明日早速殺してくる
そう言うと彼女は声をあげて笑って
優しく俺を見上げていたその瞳が伏せられると、滲みかけた涙は睫毛を束にしてその目元を光らせた
「寝たふりなんてひどい」
「だな、省みるよ」
お前の辛い記憶を消してやることはできないが
「今すぐお前を抱きたい、いいか」
優しくするから
お願いだ、愛を注がせてくれ
こいつの為というより俺の為じゃねぇか、そう自嘲した俺の髪を愛しい手が優しく撫でて
「俺が悪い、なんて思わないって約束してくれたらね」
毎日私に幸せをくれる相澤くんのこと卑下したら許さないから、そう言うと彼女は温かい手で俺の頬を包み口付けを落とした
「・・ああ、努力する」
———
割れ物を扱うように優しく触れると、そんな風にしないでと彼女が恥ずかしそうに呟いた
「いつも優しいだろ、俺は」
「全然、そんなことない・・!」
「言うね」
ゆっくりと脚を持ち上げ太腿に舌を這わせると、涙目の彼女が甘い声をあげた
「・・いつもみたいに、食べちゃうみたいにシて、お願い」
「お前なぁ、人がせっかくセーブしてるっつうのに」
食べちゃうみたいにシて、って何だよそれ可愛すぎるだろ
いつからそんな煽り方するように、
「・・ぜんぶ、相澤くんのせいでしょ」
俺の、所為
それが聞きたかった、お前はいつも俺が欲しい言葉をくれる
「煽ったのはお前だ、お望み通り全部食ってやるよ」
今日こそは優しく抱くと決めたのに
これは、お前の所為だからな
「全部俺の所為でいい」
「ふふ、優しいね」
お前は安心して身を委ねてろ、耳元でそう囁くと彼女は嬉しそうに小さく頷いた