第5章 答え合わせをさせて
先ほど自身が彼女に放った言葉の罪深さと
それでも彼女が紡いだ”惚気”を思い出し、思わずその場にしゃがみ込んだ
俺はずっと、俺自身に嫉妬してたのか
今までの汚い葛藤と”男”への理不尽な怒り、あまりに情けなくて頭痛がする
「確認なんだが、お前は俺のことが、”好きで好きでたまらない”のか」
我ながら呆れる、聞き方として最悪だ
情けない顔を見られたくなくて、しゃがんだまま一瞬だけ彼女を見上げると
涙に濡れた瞳が案の定思いきり俺を睨んだ
「お前のこと泣かす奴なんてやめろ、って
さっき相澤くんが言ってたから、やめる」
震える唇から出たその抗議が、ひどく甘い響きに聞こえる
愛しくて、信じられなくて、気が変になりそうだ
「俺が悪かった、頼むから機嫌直してくれ」
立ち上がり強く抱き寄せると、紅い唇に吸い付いて
想いを確かめる口付け、そう呼べるような綺麗なもんじゃない
逃がさないようきつく抱きしめ、貪るように喰んで舌を入れると柔いそれを捕まえた
「んん、相澤くん、!やめ、」
「・・悪いな、堪え性がなくて」
信じられなくて確かめ足りない、
懐かしい彼女の味に、全身の血が沸き立つように熱くて
荒い息遣い、肩を上下させた彼女が両手を突き出して俺を遠ざける
「と、とりあえず今日はもう、帰って・・!」
力の抜けた真っ赤なその顔を見つめる
今にもまた泣き出しそうな声、苦しそうに吐き出されるその息、
伝えるだけで充分だと思っていた想いが、瞬く間に手に入れたい欲望へと姿を変えていく
「嫌だ」
手を引き腕の中に閉じ込めると、指先で彼女の髪を梳いて
驚きに見開いたその目をじっと見つめて、また深く唇を重ね合わせる
「ゃ・・っ、んん・・っ!」
拒絶を訴える細い手首を捕まえそのまま指を絡め合わせると唇の間から漏れ出た吐息、蕩けていく目が堪らなく愛おしい
壁に当たらないよう髪に差し込んだもう片方の手がその小さな耳に触れて
「ひゃ・・っ、ぁい、ざわくん・・っ」
何ひとつ忘れていない、お前の何処が弱いのか、思い出させるように唇を滑らせる
そりゃそうだろ、こんなところで帰れるか
お前が俺と同じ気持ちなら
機嫌を直して俺に愛を囁いてくれるまで
「・・こんなもんじゃ、帰らないよ」