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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第5章 答え合わせをさせて



床に映る二つの影、重なり合うそれに視線を落とすと、泣き噦る彼女がゆっくりと俺の腕をほどき振り返った


「もう、本当に、ひどい・・っ」

頬に伝う涙が部屋の明かりに光って思わず手を伸ばすと、それを拭うよりも先に彼女が俺の背中に腕を回して


突然のことに思考が追いつかないまま、呆然と立ち尽くす俺を涙目で思い切り睨んだ




「勝手に勘違いして、振り向かせたい人がいるなんて嘘ついて私に告白させて・・っ」


「お前、何言って・・」

「今度は私のことが好きだなんて、本当に、もう、なんなの・・っ」

人の気も知らないで、恨めしそうにそう呟いた彼女が俺の胸に顔を埋める




「せめてずっと好きだったって言うくらいし
 てよ、十年以上想い続けてた私が馬鹿みたい、
 もう相澤くんなんて、嫌い・・っ」

背中に伝わる腕の温かさ、華奢で柔いそれに心臓がバクバクと煩い音を立てて



「十年・・」

「うるさい、もう知らない」

「めぐ、」

「呼ばないで、怒ってるの」

言葉とは裏腹に彼女はぎゅっと俺にしがみついて、懐かしくて愛しくてどうにかなってしまいそうだ



「昔のことはいいの、そういう理由だってわかってた」



だから諦められなかった、忘れられなかった



相澤くんと違って、私はずっと想ってた


そう言って、弱い力で俺の胸を叩いた彼女がまた涙をこぼして
止めどなく溢れるそれがぽたぽたと絨毯に滲みを作っていく




「お前、付き合ってる男は、」

「そんなの居ない、どうせ相澤くんに万年片想いですよ、うう、っ」

「でもお前、歓迎会の時、」


「一緒に居られるだけで充分だもん、同僚以上は望まないつもりだった」

相澤くんが酔い潰れて最後まで聞いてなかっただけでしょ、そう言って可愛い顔が思いきり俺を睨んだ



「じゃあグラスも、」

「まさか買ったその日に部屋に来るなんて・・!」

テーブルの上に置かれたままのそれが、部屋の明かりに煌めいている
恨めしそうに二つを見遣った彼女が小さく呟いた


「そもそも私が、好きでもない人と二人で出かけたり」

部屋に呼んだりすると思うの?、目に涙を溜めた彼女の眉が下がって、震える唇から漏れ出た嗚咽




「・・さっきの惚気は、」

「何のことだかわからない、もう忘れた」




俺に向けられた言葉、、
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