第5章 答え合わせをさせて
「はな、して・・っ!」
離れようとする彼女を逃がさないように
抱きしめる腕に思い切り力を込める
この苦しさが、全部お前に移ってしまえばいい
「・・適当なこと言いやがって」
吐き出した言葉が二人だけの部屋に響く
俺に想われるのが幸せ、きっと受け入れてくれる
そうか、
「・・じゃあ受け入れてくれよ」
偉そうに言える立場じゃない、突き放しておいて今更好きだなんて
そう分かっているのに、途方もない想いが溢れて止まらない
「好きだ」
「・・っ」
別れてからもずっと好きだったのか
再会してまた好きになったのか
自分でもわからない、
今更何の言い訳にもならないのは百も承知だ
「白雲が死んで、これ以上失うのが怖かった」
一人になれば楽になると思ってたんだ、部屋の秒針の音が静かに時を刻んでいる
腕を解こうと踠いていた手は小さく震えて、乱れた息遣いが彼女の動揺を知らせた
「・・傷付けて、本当に悪かった」
どれくらいの時間が経っただろうか、抱きしめた俺の腕にぽたぽたと温かい雫が落ちて
困惑と拒絶に違いないそれに、伝えるべきではなかった身勝手な想いの代償を知る
「ひどい、よ・・」
「お前の気持ちを無視して終わらせたこと、後悔してる」
「そん、なの・・っ」
だがもう戻れない、引き返すつもりもない
「好きだ、めぐ」
この髪に口付けるのが好きだった、指を絡めるのが好きだった、
許されないと分かっていても止められない想いが溢れて、懐かしくて愛しい温もりにこれ以上無いほど身体が熱い
「お前に好きな男が居ても、諦められない」
「・・相澤くん、最低、」
「ああ、分かってる」
少しの沈黙、小さく噦りあげる音が響いて、それを隠すように彼女が唇を噛み締める
男の存在を知りながら近づいた俺を、彼女はきっと軽蔑するだろう
「まちが、ってる」
「そうだな」
俺じゃだめか、甘い香りを吸い込んでその髪に唇を寄せると、身体を強張らせた彼女がまたぽろぽろと涙をこぼした
「・・今すぐにとは言わない」
お前が受け入れてくれるまで何年でも
いくらでも待つ
だから、
「お前のこと泣かす奴なんて、やめろ」