第7章 持ち物には名前を
気怠さと喉の渇きで目が覚める
何度も求められ全身に残る彼の痕
床に散乱した服、食卓の上にそのままの食器、
どろどろに溶け合った夜を思い出す
顔から火が出そうだ
横で眠る相澤くんを起こさないよう、微かに痛みの残る身体を起こして
そっと、
「おい」
「っわ! お、起こしちゃった?」
薄く目を開けた彼が不機嫌そうに呟いた
「・・どこ行くんだ」
「ふ、服を着ようか、なぁって・・」
「必要ない」
そう言ってシーツの間に私を引き戻した彼が膨らみに舌を這わせると、同時にもぞもぞと動き出した大きな手
「あ、待って、ダメ・・っ」
「理由は」
理由が何であれ聞く気なんて無いが、慌てる彼女が可愛くて敢えて尋ねた
「これ以上したら、今日ホントに立てなくなっちゃう」
その答えは、悪くない
「・・なぁそれ、もう一回言って」
「っばか!変態!」
繋がっていないと不安なんだ、真剣な顔でそんな風に言われたら私が許しちゃうのわかってるくせに
「んじゃお言葉に甘えて、もう一回」
俺はこういう奴だよ、そう言うと彼は意地悪に笑ってまた私を抱いた
———
「ぃったたた・・、やめてって言ったのに」
「気持ちよかったね」
「真顔でそういうこと言わないで!」
あんなに激しく何度も抱いておいて
身体大丈夫か、なんて心配そうに見つめる貴方は本当にずるい
やっとのことで引き寄せた服を羽織り二人分のコーヒーを淹れる
窓を開けると白み始めた空が見えた
「さて、今日は溜まった仕事を片付けるか」
「ふふ、昨日何もできてないもんね」
そんなに愛おしそうに見ないで
愛されているんだと実感が湧き、恥ずかしくて目を合わせられない
そんな私を満足そうに眺めコーヒーを飲む相澤くんがとても格好良くて
さっきまで抱き合っていたのに、もう足りなくなりそうだ
「・・昨日は何もやれてないどころか、
人生最大の難題をクリアしたよ」
「ふふ、なにそれ」
マグカップを口元に運びながらにやりと笑って彼は続ける
「事務仕事は、お前が寝た後でいい」
「えっ、じゃあ溜まった仕事って・・?」
「昼間はかなり忙しくなるからな」
そう言うと彼はテーブルの上に私の手を引き寄せ、指を絡めた
「俺はな、待たせるつもりも、待つつもりもないよ」