第5章 答え合わせをさせて
「、優しくしないで」
離れようとする彼女を逃がさないように
抱きしめる腕に力を込める
この苦しさが、全部お前に移ってしまえばいい
「適当なこと言いやがって・・
俺に想われるのが幸せ
きっと受け入れてくれる、
そうか、じゃあ受け入れてくれよ」
偉そうに言える立場じゃない
突き放しておいて今更好きだなんて
そうわかっているのに、途方もない想いが溢れて止まらない
「好きだ」
別れてからもずっと好きだったのか
再会してまた好きになったのか
自分でもわからない、
今更何の言い訳にもならないのは百も承知だ
白雲が死んで、これ以上失うのが怖かった
一人になれば楽になると思ってた
お前の気持ちを無視して身勝手に終わらせたこと、後悔してる
傷付けて、本当に悪かった
抱きしめた俺の腕にぽたぽたと温かい雫が落ちる
「お前に好きな男が居ても諦められない、
お前のことそんな風に泣かす奴なんてやめろ、
俺が幸せにする」
どれくらいの時間が経っただろうか、涙声の彼女が肩を震わせ口を開いた
「相澤くん、最低」
「ん」
「私のこと泣かせてばっかり」
「ん」
すべてを受け止めたくて、きつく腕に力を込める
「勝手に勘違いして、振り向かせたい人がい
るなんて嘘ついて私に告白させて・・っ」
「ん、どういう意味だ、」
「そしたら今度は私のことが好きだなんて
本当に、もう、なんなの・・っ」
温かな雫で頬を濡らした彼女がゆっくりと俺の腕をほどき振り返った
「お前、何言って・・」
「せめてずっと好きだったって言うくらいし
てよ、十年以上想い続けてた私が馬鹿みたい、
もう相澤くんなんて、嫌い・・っ」
遠慮がちにまわされた腕の温かさを背中に感じる
突然のことに思考が追いつかないまま、俺は呆然と立ち尽くした
「十年って、勝手に勘違い・・、って」
「うるさい、もう知らない」
「めぐ、」
「呼ばないで、怒ってるの」
言葉とは裏腹に彼女はぎゅっと俺にしがみつき、その温度に心臓がバクバクと煩い音を立てる
「昔のことはいいの、そういう理由だってわかってた」
だから諦められなかった、忘れられなかった
相澤くんと違って、私はずっと想ってた
そう言って弱い力で俺の胸を叩いた