第5章 答え合わせをさせて
「お前、付き合ってる男は・・」
「そんなの居ない、どうせ相澤くんに
万年片想いですよ、うう、っ」
「でもお前、歓迎会の時、」
「一緒に居られるだけで幸せだもん、
同僚以上は望まないつもりだった、嘘はついてない」
それにちゃんと訂正もした、相澤くんが酔い潰れて聞いてなかっただけでしょ、そう言って可愛い顔が思いきり俺を睨んだ
「じゃあペアグラスも、」
「使うなら相澤くんとって決めてた、
まさか買った当日に部屋に来るなんて・・!」
「そもそも私が、」
好きでもない人と二人で出かけたり、部屋に呼んだりすると思うの?、恨めしそうに目に涙を溜めた彼女の眉が下がる
「・・さっきの惚気は、」
「何のことだかわからない、もう忘れた」
俺に向けられた言葉、、
先ほど自身が彼女に放った言葉の罪深さと
それでも彼女が紡いだ”惚気”を思い出し、思わずその場にしゃがみ込んだ
俺はずっと俺自身に嫉妬してたのか
今までの汚い葛藤と”男”への理不尽な怒りに情けなくて頭痛がする
「確認なんだが、お前は俺のことが、
”好きで好きでたまらない”のか・・?」
我ながら呆れる、聞き方として最悪だ
情けない顔を見られたくなくて、しゃがんだまま一瞬だけ彼女を見上げると
涙に濡れた瞳が案の定思いきり俺を睨んだ
「お前のこと泣かす奴なんてやめろ、って
さっき相澤くんが言ってたから、やめる」
「俺が悪かった、頼むから機嫌直してくれ」
立ち上がり強く抱き寄せると、紅い唇に吸い付いて
想いを確かめる口付け、と呼べるような綺麗なもんじゃない
逃がさないようきつく抱きしめ、貪るように喰んで舌を入れると柔いそれを捕まえた
「んん、相澤くん、!やめ、」
「・・悪いな、堪え性がなくて」
まだ信じられなくて確かめ足りない、
懐かしい彼女の味に、全身の血が沸き立つように熱くて
「と、とりあえず今日はもう、帰って、」
力の抜けた真っ赤なその顔を見つめる
今にも泣き出しそうな声、苦しそうに吐き出されるその息、
伝えるだけで充分だと思っていた想いは、手に入れたい欲望へと姿を変えた
そりゃそうだろ、こんなところで帰れるか
お前が俺と同じ気持ちなら
機嫌を直して俺に愛を囁いてくれるまで
「・・こんなもんじゃ、帰らないよ」