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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第4章 ビタミン剤よりよっぽど



部屋に差し込む光、この明るさからして九時は優に超えているだろうか
窓から注ぐ眩しさがズキズキと痛む頭と胸焼けを加速させている気がする

運んでもらっておいて言えた事じゃないが、次からはカーテンも閉めていけ、ご丁寧に枕元に置かれた水を一瞥すると自身の情けなさに嫌気が差した





「一緒に居られるだけで充分」


いかに自分が舞い上がっていたか痛感するよ、本当アホらしいよな
まぁその「彼」とやらが居なかったところで、俺はそもそもエントリーする資格も無いわけだが






「相澤くんの優しいところもそのまんまだから」

暗闇の中でも分かるほど染まった頬、はにかんだその笑みを思い出すだけで身体は直ぐに熱を持って



「・・無防備にも程があるだろ」

今日は意地でも起きねェぞ、誰もいない部屋に低く呟いた悪態が溶ける
二度寝の前にこの明るさをどうにか、カーテンを睨み付け重い身体を起こし立ち上がった



連日の激務に昨日の酒、
からのこの状態だ、我ながら合理性の欠片もない

ゆらり、と憂鬱な気持ちで束ねられた布の留め具を外した時
これまたご丁寧に山田が開けたであろう窓の隙間から一番聞きたくて一番聞きたくない声がした




「あ!相澤くん、起きた!?」

ほっとしたような顔で手を振るその姿に深い溜息が漏れる
何張り込んでんだよ、呆れてそう呟いたと同時に着信を知らせるバイブ音
無視するわけにもいかず押した「通話」、渋々扉を開けると彼女はとても嬉しそうな顔をした



「かなり呑んだみたいだから心配してたの」


相変わらずのお節介も健在、か


これが彼女の通常運転、誰にでも同じようにするんだろう

わかっているくせに速まる鼓動に腹が立つ



「酔い覚まし作ったんだけど、持って行っても大丈夫かな?」

大事な奴が居るんだろ、他の男にそんなことするもんじゃないよ

無自覚な優しさに苛立ちが抑えられなくて





「・・・酔い覚ましも心配も、不要だ」

唸るように言い放った途端、電話越しに彼女の息を呑む気配がする
我に返り視線を上げたその先、酷く傷付いた彼女の表情にドクンと心臓が嫌な音を立てた



「・・ごめんなさい、迷惑だよね、
 今日はゆっくり休んでね」


「違う、今のは」

視線を落とした彼女がくるりと背中を向ける
強く耳に当てたそれは何も伝えてはくれなくて
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