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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第3章 いつもよりハイペース



「ふふ、そうですね、結婚できるように頑張らないと!」

彼女が目を見開いたのは一瞬、すぐに口から出た当たり障りのない回答に安堵の息が零れる
夢を追い医療の道に進んだ彼女だ、きっと忙しく過ごしてきたのだろう

そうほっとしたのも束の間、完全に出来上がっている香山さんはずい、と迫り彼女の腕を掴んだ


「そんな答えじゃ私は納得しないわよ?」

「え、か、香山さん・・っ!?」

本当に碌なことがない、断言できる、彼女に覆い被さった香山さんの手が身体の横を擽ると彼女が涙目で声を上げた


「ひゃ、ゃだっ、か、やまさん・・っ」

「あらやだ、可愛い声で啼くのね」

擽らないでください、赤い顔で必死に訴える彼女に18禁ヒーローの悪いスイッチの入る音がする


「うふふ、食べちゃおうかしら」

「お願い、や、まだくん、助け・・っ」

なんで俺の名前じゃないんだ、飲んでもいないくせに赤い顔をして生唾を飲んだ山田の横顔を思い切り殴る


「ねーえ?イイ人くらいは居るんでしょう?」

いい子だから言いなさい、そう詰め寄った香山さんが彼女の顎をくいっと上げると荒くなった息遣い


「おい、」

テーブルに手を付きまともに回らない頭で立ちあがろうとしたその時、赤い顔をした彼女が小さな声を発した






「・・彼は全然そんなつもりは無くて・・
 一緒に居られるだけで充分で・・」

目を伏せて話す彼女に釘付けになる
酒のせいかそうではないのか、彼女の頬が紅みを増して









・・・は?


彼女の口から出た「彼」という特定の男の存在に頭の中が真っ白になる






付き合ってる男が、いるのか



何も不自然じゃない、こんなにいい女なんだ、年齢も年齢だ、何一つ不自然じゃない

食らったダメージを最小限にするため、回らない頭を回し必死に納得しようとするが




「一緒に居られるだけで充分」

そこまで惚れられている男が憎くてたまらない、しかもだ、「そんなつもりは無い」だと



結婚したい彼女をはぐらかして、その好意に胡座かいてんのか、とんだクズ野郎じゃねェか





「ナニそれ!青いじゃない!!」

興奮した香山さんの叫ぶ声すらどこか遠くに感じる
力なく座り直した途端、悪い酔いが全身に回っていくのを確かに認識しながら、それでも呑まずには居られなくて目の前のグラスを煽った
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