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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第26章 あなたの風邪は何処から



「めぐ、頼む!オレを助けてェ!」


盛大に舌打ちをした相澤くんが力を緩めたその一瞬、私は腕をすり抜け身なりを整える

上達したもんだな、なんて感心する声を背に部屋のドアを開けると、涙目の山田くんが縋るように両手を合わせた


「会いたかったぜ、めぐチャン・・!」

「どうしたの、?」

驚きに目を丸くした私の手を山田くんが握る
周囲を気にし、珍しく声を落とした彼が私に告げた


「めぐが来ないと、香山さんとサシになっちまう・・!」


涙を浮かべた彼の言わんとしている事を悟った時、ぬっと背後から顔を出した相澤くんが私の肩に両腕を回して抱き締めた



「げっ、今日も絶好調に囚われてんなァ・・!」

どう見てもヴィランだぜ、苦い顔でそう呟いた山田くんが舌打ちをして私の手を離す


「これが見えねェのか」

相澤くんが前髪を上げると、そこには先ほど私が貼った冷却シート
清潔な白に水色が透けて見えるそれを彼は自慢気に撫でた


「ハァ?どう見ても元気そうジャン!」

「37度8分」

「超ooohーーー微熱ジャン!」

叫ぶ山田くんを無視し相澤くんがドアを閉める
慌てて滑り込んだ長い手足にも彼は全く動じず、力任せにドアを引き続けた


「コレの・・!ドコが病人だよ・・!」

「相澤くん!」

何とか彼を制しドアを開くと、手足を摩った山田くんが私に尋ねた


「めぐ、コイツの口癖知ってるか?」

「えっと、合r・・」

「”ポカリ飲んで寝てりゃ治る”だぜェ!?」


思わず吹き出した私に、山田くんは必死に訴えかける


「40度の熱もポカリで乗り切るようなヤツよ!?」

俺がまたアレ飲まされる方が絶対ヤバいって!
そう言われると脳裏にあの黒い液体の記憶がうっすらと蘇った


「二週連続だもんね・・」


私が参加したところで回避はできないだろうけど、二人きりよりはいいのかな、

相澤くんは食事も薬も済んでいるし、私が居ない方が寝てくれるかもしれない


そんな想いもあり、ちらりと上を見上げると
回されたその腕にぎゅっと力が入った


「俺は別に構わない、行ってきていいぞ」


お前が見張っていないなら仕事し放題だ、
私にだけ聞こえるようにそう囁くとゆっくりと体重をかけて

寒気がしてきたな、わざとらしく呟いた彼の笑う気配がした

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