第25章 反撃は二人だけの夜に
「も、もしかして昨日、私・・」
「俺なりに一日頑張ったんだ、やっとご褒美にありつける」
全てに合点がいったとばかりに俺を見つめたその目には、焦りと後悔がありありと浮かんで
「マジの駄目出しをどうも」
「本当に、ごめんなさい・・っ!!」
細い腕が、俺をその胸に抱き寄せる
少し早く刻まれるその音に耳を澄ますと、やっと落ち着ける気がした
「深い意味は無くて、その、」
「俺から離れて、電話も鳴らなくて、ほっとしたか」
「そういう意味じゃないよ・・!」
そんな風に言わないで、そう言って涙を浮かべた瞳に心が凪いでいく自分が情けない
分かってる、
彼女はもう少し信じて欲しいと望んだだけだ
「めぐ、愛してる」
「お前が好きで、大切で、狂いそうだ」
愛してる、愛してる、何度もそう囁いて
その言葉で彼女をまた縛って、我ながら救いようのない奴だと思う
指に絡み付いた温かさに身体の奥が疼いて
「ん、ああっ、消太ぁ・・っ」
「俺でしかイけなく、なれよ」
いつもより優しく、彼女の欲しがる所を執拗に責めて、震え出したその脚を持ち上げ舌を這わせる
「や、も・・っ、だめぇ・・!」
高くなったその声を合図にするりと指を引き抜くと、恨めしそうに俺を睨む紅い顔が堪らなく愛おしい
「欲しいか」
不本意そうに小さく頷いたその顔を眺めながら自身を沈めて、優しく彼女に口付けた
「ああっ、消太・・、愛、してる」
図ったように俺の欲しい言葉を紡いだその唇がまた口付けをせがんで
「お前、わざとだろ」
「え、何が・・、や、んあ・・っ!」
同じ想いなのか踊らされているのか、そんな大事なことすら今はどうでもいい
お前が間違いなく俺のものだと、この夜が教えてくれる
「柄にも無く、落ち込んだよ」
「あんっ、ごめん、なさい・・っ」
謝るのは俺の方だろ、そう呟くと彼女はふるふると首を横に振って
「たまには良いけど・・、ちょっと寂しいかも」
なんて甘ったるい言葉で、また俺を油断させる
「せっかく反省してんだ」
「今朝しょんぼりしてたんだね、可愛、い」
「夜通し慰めてくれ、立ち直れそうにない」
甘い夜が更けていく
何度も俺の名前を呼んだ声が優しい愛を囁いて、俺はただひたすらにその温もりに溺れていった