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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第25章 反撃は二人だけの夜に


カモミールの香りが身体にじわりと沁み込む
それを堪能すると目の前の小さなケーキ皿を引き寄せ、思わず小さく独り言ちた


「そう、こういうのがしたかった・・♫」

テーブルを挟んだ目の前の椅子には、二つの紙袋
15、いや20軒くらいは回っただろうか
それだけ足を運んで得た収穫はこれだけ
そう、こういうのがしたかったんだ


数ヶ月満たされなかった心の一部分がたっぷりと満たされて、口元が少し緩んでしまう

その時鞄から伝わった振動にスマホを取り出すと、相澤くんからの連絡だった

「わ、電話じゃない・・!」



“どこに居るかくらい、連絡くれてもいいんじゃないのか”

あからさまに不機嫌なその文面はさておき、重要なのは電話じゃないという点で

少し位は私も信頼を勝ち得たのかもしれない


“ごめんね、これから帰るところです”

現在地と今晩のメニューも書いて送信すると、それはすぐに既読になった


“今日はありがとう、大好き”

“そういうのは直接言え”


家に着いたらちゃんと連絡しよう、
ケーキを急いで頬張ると、まだ少し残っているハーブティーはそのままに
私は心地よく疲れた足で立ち上がった





















「そんなに楽しかったか」

「ありがとう、ございました・・」

俺の顔色を窺いつつも、隠しきれない上機嫌なその表情を見下ろしながら、柔い肌に口付ける
肩の紐を噛んで下ろすと彼女の頬が紅く染まった

「とてつもなく長い一日だったよ」

「ふふ、ごめんね」

お詫びに今日は頑張るから、照れ臭そうに目を逸らしてそんな事を言われると、どれだけ眉を顰めても身体は素直に反応して

「言ったな、後悔するなよ」

「あ、でも明日も平日だからね・・?」

「知るかそんなもん」


欲しくて欲しくて、早く繋がりたくて堪らない
一日中彼女の事ばかり考えていた自分が悔しくて

嬉しそうに今日の収穫を見せて来たその顔を快楽に歪めて、俺の事だけでその頭をいっぱいにしたいと、抑えきれない熱が全身に溜まっていく


「一人で出掛けたい、電話をかけるな、昼食を取れ、徹夜をするな、だったな」


「え・・!え・・!?」

「他の男に妬くな、に関しては無理な相談だ」

もう片方の紐も口に含んで下へ引く
ぐるぐると考えているのだろう、何度も瞬きをしたその瞳がチラリと俺を見上げた
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