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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第25章 反撃は二人だけの夜に



コーヒーの香り、目玉焼きもフライパンの上で心地のいい音を立てて
朝食を準備しながら彼を待つこの時間は、新しい一日の始まりを私に告げる

さすがに今日は少し頭が痛いなぁ、と苦笑して
たった今開かれた寝室のドアを見つめた


「あ、おはよう、相澤くん」

「・・・」

気怠い雰囲気を漂わせた彼は、いつも座る筈の椅子を通り過ぎ
よろよろとキッチンに現れると火を止めた私の背中に抱きついた

「どうしたの、どこか辛い?」

「・・・」

何も言わず、彼はすりすりと額を私にくっつけて
熱でもあるのかとそこに優しく触れると、個性柄幾つか飛び込んできた情報に私は眼を丸くした


悲観的、慢性的疲労、落胆、軽度の寝不足、情緒不安定、ビタミン不足、不安、反省

「体調は・・、いつも通りみたいだけど・・」

なんだかいつもよりネガティブな要素が多いのが気になって、身体をくるりと反転しぎゅっと抱き締めると、息が止まりそうなほど強く抱き竦められた


「めぐ」

「ん?」

「愛してる」

寝起きの低く甘いその声に自分の顔が熱くなっていくのを感じる

「ど、どうしたの・・」

彼がこんな風に私の名前を呼ぶのも、甘い言葉を囁くのも、基本的にはベッドの上だけで

はっきりとは思い出せない昨晩の記憶を必死に手繰り寄せる
何かを話した後、彼の膝に座ってそれで、


起床した時には部屋着のまま、パジャマに着替えていなかった事を思い出した


「あ!ご、ごめん、
 もしかして、昨日シたかった・・?」

私飲みすぎちゃって、半端に誘うみたいな事したのにそのまま寝ちゃったよね・・、そう言って恐る恐る相澤くんを見上げるとその顔がどんどんと曇っていく


「あ゛?」

「えっ、違った・・?今晩もシない、?」

「するに決まってんだろ」

口をへの字に結んだその顔が可愛くて思わず吹き出すと、それと同時にトースターが音を立て慌ただしい朝に私たちを引き戻した

「覚えてないんだな」


「ごめんなさい・・試しに、解答権ください・・」

「はい、どうぞ」


今朝一番に発された言葉を思い出してチラリと彼を見上げる


「”もっと愛の言葉が欲しい”、とか、
 私言ってました・・?」

「そう思うだろ、俺もそう思った」

どんよりと肩を落とした相澤くんは一度冷蔵庫を開けると、数秒何かを考えてその扉を閉めた
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