• テキストサイズ

◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第2章 余裕で跳べてしまうから



この距離なら余裕で跳べるな、そんな良からぬことを考えてからたったの数分
目の前の彼女は気まずそうに視線を落としている

手のひらに伝わる髪の感触、支えた腕の柔らかさ、そして薄手の服越しに伝わる体温

これ以上無いほど、心臓がバクバクと音を立てて


何も言わない俺に居心地の悪さを感じ始めているのか、それとも壁際に迫られているこの状況をやっと認識したのか



「相澤くん、もう、大丈夫だから・・」

「・・・」


昼間は目すらまともに合わせられなかった、つい先ほどまでは電話越しだった

その彼女に今、触れている



「あの、相澤くん・・?」


冷静さを失いそうなのはこんな時間のせいか
それとも長時間労働による判断力の低下か、

そんな風に俯瞰する自身の一方で

彼女をもっと追い詰めたいと、止まらない何かが急激に大きくなっていくのを感じる


「かえ、らないの・・?」




今ここで 

このまま強く抱きしめて
むちゃくちゃに口付けて
心からの謝罪と愛を口にしたら


君は再び 
俺のものになってくれるだろうか————





「・・帰らないと言ったら」

「え、相澤くん、ど、したの、」

彼女の弱々しい手が、遠慮がちに俺の胸を押し返す





お前の顔が紅いことに
目を合わせず狼狽えるその姿に

少しは期待してもいいのだろうか





あと、数センチ


「悪いが、少し黙れ・・」

















ビーッ!ビーッ!ビーッ!ビーッ!

「1年A組ノ生徒2名 時間外活動確認
 担任 オイ!イレイザーヘッド!
 オタクノ生徒ガ マタ
 グラウンドβニ居ルゾ
 セキニン問題 叱ッテコイ!」

向かいの部屋から大音量で響いたのは、緊急事態を告げるアナウンス


「あいつら、縛り上げてやる・・!」


大きな溜息をついてくしゃりと彼女の髪に触れる
名残惜しくて視線に乗せた熱は彼女に少しでも伝わっただろうか


「・・ちゃんと寝ろよ、おやすみ」



呆然とする彼女を残し跳び帰った部屋、冷たい水で顔を洗うと自身の愚かさに嫌気が差す

何考えてんだ、我ながらどうかしてるぞ

抱きしめた時に感じた彼女の温度
華奢な背中 柔らかな髪 懐かしい香り

思い出すだけで身体が熱くなる
クソ、どのみち今晩は寝られやしない

あいつらを縛り上げたら、朝まで反省会だ
/ 176ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp