第3章 いつもよりハイペース
「グッモーニンエブリバディ!
・・って!ええ!?めぐじゃねぇかァ!!」
朝の職員室に懐かしい爆音が響き渡って、思わず笑みが零れる
サングラス越しのグリーンの瞳がきらきらと光った
「山田くんが先生なのは知ってたよ、今日からお世話になります!よろしくね」
「二人とは同期だものね、私もまた会えて嬉しいわ」
「香山先輩〜!お久しぶりです!」
・・アイツの様子がヘンだった理由、100%コレだろ、コレしかねェ!!
——十年以上の時を経て!
拗らせストイックモンスター相澤消太についに春が来るか!?
なんかオレ、超Ohhh楽しくなってキタァ!
「ノンノンノン!めぐはただの同期じゃねェ!
聞いて驚け教諭諸君!
可憐な彼女はイレイザーのもt グハッ」
「おはようございます」
眠そうな顔で現れた相澤くんが一瞬で山田くんを吊るし席につく
山田くん、今絶対アレ言おうとしたよね・・
冷や汗が伝う反面、昔と変わらない二人の姿に思わず笑ってしまう
「なるほどねぇ、それで最近貴方の様子が変だったわけね」
「妙な勘繰りはやめて下さい、暇なんですか」
表情ひとつ変えない相澤くんがパソコンの電源を入れる
昨日のことだってまるで何も無かったみたいだ
意識してるのは私だけ、か
「そうとなれば今夜は早速めぐの歓迎会よ!
マイク!店を押さえて!」
「オイオイ、急だなァ!
1時までに解散にしてくれよHAHAHA!」
「こんな忙しい時に飲み会なんて」
「あら、無理に参加しなくてもいいわよ?貴方が見張っていない方が彼女を質問責めにしやすいし」
この人は見たまんま、本当にタチが悪い
にやにやと笑うその顔に隠しもせず舌打ちすると
香山さんの思惑に微塵も気付いていない彼女が
「うんうん、無理しないで!」とにこにこ笑った
昨日のアレはノーカンかよ
めちゃくちゃ普通じゃねェか
若干暴走しかけたとはいえ、意識してもらえるきっかけにはなったかと
今朝方やっとこじ付けた結論が呆気なく崩れる
「こいつの歓迎会に俺が行かないわけないでしょう、大事な"同期"なんですから」
意識されていないのが悔しくて、普段なら絶対に言わないような言葉を垂れた
「はいはい、素直でよろしい♫」