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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第3章 いつもよりハイペース



「彼は全然そんなつもりは無いというか、!
 私も、一緒に居られるだけで充分で・・」

目を伏せて話す彼女に釘付けになる
酒のせいかそうではないのか、彼女の頬が紅みを増して





・・・は?



彼女の口から出た「彼」という特定の男の存在に頭の中が真っ白になる


付き合ってる男が、いるのか・・?


何も不自然じゃない
こんなにいい女なんだ
それに年齢も年齢だ
何一つ不自然じゃないだろう

食らったダメージを最小限にするため、回らない頭を回し必死に納得しようとする




「一緒に居られるだけで充分」

そこまで彼女に惚れられているそいつが憎くてたまらない、しかもだ、「そんなつもりは無い」だと・・

結婚したい彼女をはぐらかして、コイツの好意に胡座かいてんのか・・!


とんだクズ野郎じゃねェか


悪い酔いが全身に回っていくのを確かに感じるが
それでも呑まずには居られない


「・・連れて来いぶっ殺してやる」

「HEY相棒、心の声が漏れちまってるぜ?
 ま、確かにお前にはキチィよなァ・・」


そんな野郎のどこがいいんだよ
俺だったら待たせたりしない、絶対にお前を幸せにする


だから


「・・俺に、しろよ・・・」

「HEYショーチャンまた漏れてるぜ、
 ってか飲み過ぎだその辺にしとけ・・っ!」

頭を鈍器で殴られたようなショックと共にアルコールが身体を支配するのを感じる


そりゃ、昨日のこともノーカンにされるわけだ

再会に浮かれて迫った昨日の俺も、一発ぶん殴ってやらないとな


——————-


どうしよう、勢いでなんか変な言い方しちゃったかも・・!嘘は言ってないけどなんか変な空気になっているような・・

離れて座る相澤くんをチラりと見ると、沢山呑んだようで寝てしまったみたいだ

「あ〜あ、完全に潰れてやんの・・
 悪い、俺一旦コイツ連れて帰るわ!」

山田くんはそう言って彼を背負うと早々にお店を後にした




「で? その人とはどのくらいお付き合いしてるの?」

まだまだ離してくれない香山先輩が私の腕をぐいっと掴む


「い、いえ、彼氏でも何でも無くて!
 この歳で片想いなんてお恥ずかしい・・」


それを聞いた香山先輩はなぜか嬉しそうに笑って「やっぱり!そういう事よね」とお酒を口に含んだ



「それはとってもとっても、楽しいわね」
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