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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第24章 口止め料は甘い香り



「どこか行きたい所、あるかな?」

急ぎの書類を片付けてエリちゃんに向き直ると
消毒液の匂いを嗅いで顔を顰めた彼女が「これもちがう、」と呟いた

「何が違うの?」

「ううん、なんでもないの」

そう言うとリカバリーガールからもらったお菓子を目の前に広げ、カラフルなその包みを一つ一つ眺めていく

夕方まで何をして過ごそうかな、

エリちゃんを外へ連れ出したくても
私一人では万が一の場合に非力だと、校外への外出は相澤くんに禁じられている

「もし行ってみたいところがあったら
 教えてほしいな」

学校の中なら校長室だって連れていってあげるよ!
冗談めかしてそう言った私をエリちゃんがチラりと見上げた


「・・お、おこらない、?」

「え?怒るわけないよ、遠慮しないでぜひ教えて?」

本当は学校の外に連れて行ってあげたいのだけどごめんね、そう付け加えると彼女は少し考えた後小さな声を響かせた



「あのね・・、せんせいと、めぐさんの
 お部屋にいってみたいの」


「お部屋?そんな所でいいの?」

うん、と控えめに頷いて私の顔を伺っているその顔がとても可愛くて


「ふふ、じゃあこれから私のお部屋で
 おやつパーティーしよっか!」

そう言うと彼女はぱあっと花が咲いたように笑った


「本当にいいの?」

「もちろん!エリちゃんならいつだって大歓迎だよ」


小さな手を引いて食堂へ寄ると「エリちゃんの為なら」とランチラッシュが素敵なデザートセットを持たせてくれた


「でも、みつげつな、だんじょのお部屋だって」

「え?み、みつ・・!?」

「ルミリオンさんが言ってたの、」

入ってはいけないお部屋だから、って・・、
私を見上げるその顔が不安そうに曇っていく


「ふふ、っあはは!」

通形くんが変なことを吹き込むのは日常茶飯事だけれど
相澤くんが聞いたら怒るだろうなぁ、そう思うと笑いが止まらない


「せんせいのお邪魔しちゃうとね、いきのね?
 が止まるまで縛られるかもしれないって」

デクさんのお友達もいってたよ、そう真剣な顔で続けた彼女に目線を合わせた


「相澤先生は、そんなことしないよ?」

エリちゃんにはね、と付け加えて頭を撫でる

湧き上がる笑いをどうにか抑えてエレベーターへと乗り込んだ
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