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◉拗らせろ初恋◉【ヒロアカ】

第22章 紛れもなくヒーローの


この夜でさえ、一瞬で青空に変えてしまいそうな白雲くんの声に耳を傾けながら、小さくなってきた火花を見つめる


「今、線香花火がショータに似てるって考えてたろ?」

ニヤニヤと笑った白雲くんは私の方に花火を揺らすと、またポトリと彼の火玉が落ちた


「な、何でわかったの・・!」

「そういう顔してた」

そう言って彼はまた新しい線香花火に火を付ける
残りの本数はかなり少なくなっていた


「じゃあさ、花火が燃えてる間
 ショータの好きな所どっちが多く言えるか、
 勝負しようぜ!」


「ふふ、いいよ」

負けないからね、そう深呼吸をして手に持った線香花火を火に近づける
いつだって素直に感情を表現する白雲くんと一緒だからだろうか、
不思議と照れ臭さはあまり感じなかった





「相澤くんのどこが好きか、」



パチパチと綺麗な音を立てて燃え始めたそれに愛しい彼を重ね、私はゆっくりと言葉を紡いだ



「優しくて、強くて、努力家で
 とっても格好いいけど、不器用で可愛いの
 一緒に居るととても落ち着くし
 居ないとすごく寂しい、
 相澤くんの顔を見るだけで
 私本当に幸せになっちゃうんだよ、」



たまに見せる意地悪な顔も

キスする時薄く開けている目も

強引だけど優しい手も




・・なんて、

これは白雲くんには言えないけどね



続く言葉を考えているうちに吹いた風が
ポトリ、とあっけなく私の火玉を地面に落とした




「落ちちゃった・・、まだ言いたかったのに」

悔しさを隠さずに顔を上げると、赤い顔で呆然と目を見開いた白雲くんと目が合って
彼はその大きな手で大げさに顔を覆って叫んだ



「そんなに堂々とノロケるとは・・!!」

「え!?だって、負けたく、ないし・・!」


今になって恥ずかしさが込み上げ下を向くと
めぐ案外根性据わってんだな!なんて言いながら、白雲くんは何故かストレッチを始めた



俺とショータの友情甘く見るなよ?そう呟いて、彼が大きく息を吸い込む
そして真っ直ぐに私を見つめると、真剣な表情で言い放った




「俺の方が好きだって、わからせてやる!」


夕闇に凛と響いたその声が思いの外綺麗で、
強めの風が吹きますように、と私は眉根を寄せる

半袖をさらに腕まくりした白雲くんは、唇を噛み締めながら線香花火を火に近づけた
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