第8章 cruelty ■
ーレオナsideー
優しくできそうにないと言って私を抱いたのに、
龍ちゃんはとても優しかったと感じた。
誰よりも、私を深く慈しむように優しく抱いてくれたと。
もっと私を貪って、もっともっと痣をつけて、
もっともっと上書きして、
もっとあなたで埋めつくして、
もっともっとあなたに溺れた体にしてほしいとさえ。
普通だったら、この人に
抱いてと言うのなんてありえない。
でも私は明らかに理性が飛んでいた。
体も心もおかしくなってた。
自分のことを差し置いてすぐに駆けつけてくれた彼に
本当は呆れて馬鹿だと言うべきだったのに。
甘えて。甘えさせられて。
これ以上ないくらいに頼もしく感じた。
私を包み込み、抱いてくれた彼を、
いつも以上にかっこよく感じた。
官能的な表情も、声も、吐息も、熱も、
なにもかもがかっこよくて。男らしくて。
この日初めて私は、
龍也という人間を、
1人の男として、異性として
瞳に映したと思う。
夢の中でも彼に会った。
泣いている私を抱きしめてくれていた。
いつもみたいに微笑んでくれた。
話を聞いてくれた。
大丈夫だよ…と何度も囁いてくれた。
「大丈夫…俺がついてるよ。ずっとね…」
そう、いつもの笑みで笑って。