第6章 blunder
「いいんです。
レオナさんを少しでも支えられれば…それで…」
「それで、満足って?」
「…はい。」
嘘をつけよ。
俺は心の中で笑った。
「まぁいいや。気が変わったらいつでも連絡して?」
そう言って俺は名刺を握らせた。
「じゃあね!ありがとうっ!お疲れ様っ!」
車内でぐったりしているレオナを抱き上げて、踵を返した。
マンションに入る前にチラと振り返ると、
彼は呆然と突っ立っていたようで、慌ててお辞儀をしてきた。
レオナに随分と可愛がられているみたいだね。
その理由は充分わかる気がした。