第3章 一週間のできごと
夏休み期間中
おばあちゃん家に行ったりするのを口実に
丸々一週間バイトを休んだ。
普段は週5で入ったりもしてるから、
その時は特に思うことはないんだけど
こんなに休んでしまうと
まじで行きたくないな~って
そんなことを思いながら髪を束ねる。
「あーーー!お久しぶりです!」
「久しぶり~!」
今日も後輩と二人のシフト
この子とのバイトは楽しいから好き!
「もぉ!さん、一週間も休みで寂しかったですよ~!」
「はいはい、ありがと!
今日からまた働きまーす」
「よろしくお願いしまーす!
あ!そしてそして!
さんがお休みの間、岩泉さんが来たんですよ!」
え?
「え?ちょっと待って?今なんて?」
「や、岩泉さん来たんです!」
…………。
「てか何で岩泉さんだってわかったの?」
「私、人の顔覚えるの得意じゃないですか~!」
あぁ、そうだった。
本当に感心するほど、この子はお客さんの顔を覚えてる。
そしてこの人懐っこさでいろんな人に話しかけて、
特におじ様方に喜ばれるから
お店のリピーターづくりに貢献しているすごい子。
「で、岩泉さんきて」
「てか名前まで覚えてたんだ。ほんとすごいね」
「いや、名前はわかんなくて聞きました」
「………なんて聞いたの?てかしゃべったの?」
「はい。この前も来てくださいましたよね~!
で、さんと話されてましたよね?
中学一緒だったんですよね?
さんに名前聞いたはずなんですけど、
よければ名前教えてくれませんか~?って」
いやいやいや
私には関係ないことだけど。
………いやいやいやいや
なんだか私がクラクラして来た。
「で、今週はさんお休みなんですよ~って」
「え?!そんなこと言ったの?!
絶対私に興味ないのに………」
なんてことを………
「そんなことなかったですよ?」