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【ハイキュー】初恋【岩泉一】

第2章 だいたい七年後


「カッコよかった人!」



「だよね?!そうだよね?!」





やっぱり。


岩泉先輩はカッコいい。





「………はぁ。めちゃくちゃ久しぶりに見たけど、

相変わらずカッコ良かったな」





ついこぼれる。


でも本当にカッコ良かった。





「で?!声かけたんですか?!」



「いや、かけるつもりなかったんだけど」



「てことは?!」



「いや、かけたんだけど。

ただ何、このやりとり」





嬉々としている後輩に思わずため息。


完全に面白がられている。





「いーじゃないですか!どうせ暇なんですし!」



「まぁね。じゃあせっかくだから聞いて?

岩泉先輩っていうんだけど、中学生の時

初めて好きだな~って思った人でね。


ただ中学生だったし

一方的にカッコいいって言ってただけだったんだけど、

それでもよかったし、それがものすごく楽しくてさ」





それから中学2年生の1年間の片想い、

そして卒業式に初めて話して、ボタンをもらった話。


そしてたった今の出来事を聞いてもらった。





こんな話、もうずっと昔の出来事で

誰かに話すなんて機会もなかったんだけど、



ただ、話し始めると

当時のキラキラと輝くような毎日が蘇ってきて




本当に楽しかったし、

初めて恋をした相手が岩泉先輩でよかったなって。



改めてそう思った。





「それって初恋ってことですよね?!」



「まぁ、そうなるよねぇ」



「良すぎません?!キレイなまま残っていた思い出が

今日また現れたってことですよね?!」



「まぁ、そうなる………?いや、どうだろ」



「えーーーーー!また来てくれますかね?!」



「でも挨拶しただけだし」





今日のたった今の出来事を話す時、

ひとつだけ言わなかったことがある。




"また来てください"


って言ったこと。





ついそんなことを口走ってしまったけど、

ただ、もう岩泉先輩が来てくれることはないんじゃないかと思ってる。




期待なんて絶対にしない。




だって、待つだけ待って

そうじゃなかった時。



悲しくなることは目に見えている。




それよりも、久しぶりに岩泉先輩に会えたこと。

それだけで十分だった。
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