第8章 帰り道(岩泉)
話の流れとしてだけど
"好きだ" と伝えた。
俺にしては、結構
………いや、かなり頑張った。
ただ、からの返事は特にない。
だけど、そのかわりに
「あ、痛い」
目の前のが突然頬をつねり出した。
は?
「………なにやってんの?」
「いや、夢の中なのかな?って思って………」
………は?
「………なんで?」
「………だって、先輩の話。
あまりにも私に都合が良すぎるから」
あーーーーー。
「………夢じゃねーよ」
声をかけられて、
それからこうやって仲良くなって
もまぁ、俺のこと嫌いじゃないよな?とか
そんなことは思ってたけど、
とりあえず今日の目的は彼氏の確認だったし、
だからとりあえず、そこが確認できればって
そんな感じだったんだけど。
「あーーーーーもう!」
ここまで言わせてそのまま?
いや、ダメじゃね?って
そんなことを思ってしまったら。
頭をくしゃくしゃとかきながら、
つい大きな声を出してしまった。
それにが驚いている。
「いや、すまん。
こういうの、初めてだから。
どうしたらいいのかよくわかんなくて」
今までは基本的に受け身だったから
自分からどう行動すべきなのかわからない。
「ただ、さっき言ったみてーに………」
………やべぇ
言うべき言葉はわかるのに、
本当に言葉が出てこないってことあるんだな。