第8章 帰り道(岩泉)
「…………あのさ、」
「はい?」
手を振るを呼び止める。
だからも帰ろうとしていた足を止めて、
不思議そうにこっちを見てる。
「って、彼氏とか。いる、のか?」
「え?」
あまりにも突然すぎたからか
「………いや、彼氏いるのに送ったりとか
よくなかったよなって、思って………」
今更だけど
「え?!いや?!えっと、
大丈夫です。彼氏、いないんで………」
「………あ、そっか」
だけど、その返事に胸を撫で下ろす。
そっか。
「はい………」
いないのか。
「えっと、先輩は彼女とか………」
「いたらお前と飲みになんか行かねーし」
らしくねーなって思うけど、
どうしてもこういうことは得意じゃなくて。
だけど少しだけ、含ませる。
「それに、こうやって
送って行ったり、とか」
こんなことするのは、お前にだけだって。
なのに
「先輩の彼女になれた人は幸せですね!」