第8章 帰り道(岩泉)
高校の頃も試合見にきてくれたって聞いて
すごく、嬉しかった。
だけど
「どの試合見てくれたかはわかんねーけど、
でも最後まで、全部勝って終われなかったからな」
一度も、最後まで
勝つことができなかった。
だけど、そんな俺に対して
なぜかしゅんとされて
「私はバレーはあんまりよくわからないし、
たくさん見たこともないんですけど。
だけど、中学校の頃も、高校の頃も。
岩泉先輩がいちばんカッコよかったし、先輩のプレーが好きでした」
あぁ、こいつの前で勝ち続けたかったなって。
無自覚だったものを自覚してしまうと
は何を思いながら俺に笑いかけてくれるんだろう?と。
あと、そもそも彼氏はいるのか?と。
彼氏がいちゃ、元も子もねぇよなぁ。
と思うと、
確かめたくなった。