第7章 帰り道
「マジでゴメン」
はぁーーーーーー、って
ため息混じりに謝られた。
で、それに対して「何が?」と聞く前に
「に言わせて」
私が「好きです」って言ったことかな?
「なんか、さっき言えなかったけど。
続きはちゃんと俺が言うわ」
岩泉先輩が数秒だけ目を閉じて
その間に、先輩の中にも冷たい空気が入っていくのがわかった。
「俺と、付き合って、くれ
………ませんか?」
「………最後、何を迷ったんですか?」
もしそうなれたら、って
本当は何度も思ってしまったけど。
だけどもちろん、無理やりそうなりたいわけじゃない。
「あ、いや。語尾?」
「え?」
想像していたのと違う答え
「いや、お願いだから
ちゃんと "くれませんか?" って言い方がいいよな~って思って」
「………ぷっ
なんですか、それ?」
「こそ。
何、泣くほど笑ってんだよ。そんなに笑うな」
そっぽを向く先輩。
思わず涙を拭ったから、
私が可笑しくて涙を流していると思ったらしい。
「失礼しました」
「………って」
また先輩の言葉が詰まる。
何か言わなければと思うんだけど、
目から溢れるものを止めることができなくて
上手く言葉が発せない。
少し、沈黙
「返事。もらっても、いいか?」
あぁ、どうしよう。
岩泉先輩にこの言葉を言える日が来るなんて。
やっぱり空気は冷たくて、
どうしようもなく、胸が苦しい。