第7章 帰り道
「じゃ、ほんとありがとう!
ごめん、先に出るね。お疲れ様でした!」
挨拶をして、階段を駆け登る。
外に出て見回すと
「あ!お疲れ様です!
スミマセン、お待たせしました」
少し離れていたところで
スマホを見ていた先輩に声をかける。
「おう。お疲れ」
「………なんですか?なんか変ですか?」
「あ、いや。ゴメン」
なんだかジーーーっと見られている気がしたんだけど。
「あ?!もしかして臭かったですか?!
バイト後の匂い、すごいんですよね………」
あぁ、もう。
なんでバイト先は居酒屋なんだろう。
………いや、そうじゃなければ今
岩泉先輩は目の前にいない。
「あ、いや。そうじゃなくて。
なんていうか、あの。
髪下ろすと、やっぱり雰囲気違うのな」
予想外のお返事
「え?!そう、ですか?
あ、でもバイト中は結んでるから、ですね?
てか今日どうしたんですか?」
なんでこんなことになったのか
「あ、いや。飲んでて。
で、がバイトだったら
ちょうど帰る時間一緒かなって思って」
岩泉先輩の言葉はいつもシンプル。
だけどそれが先輩らしいし、
それが嬉しい。
「そうだったんですね!ありがとうございます!
いつも一人だから嬉しいです!」
笑顔で返す
本心は "先輩と一緒に帰れるなんて" だけど
それはいつも通り、心の奥にしまっておく。
「おう。じゃ、帰るか?」
「はい!」
「今日忙しかった?」
「週末にしてはほどよい感じでした!」