第5章 大人の事情※
「人体実験を一人の子供に目撃されてね。
分離プログラムを使ったらしいが、
なんでそんなものが最初からあったのかな」
「……なぜカガミ博士が、その話を?」
「ネオワン号。あれ、どうやって人間が
あの距離を移動……転送してると思う?」
"分離プログラム"
全てが繋がりザワッと身の毛がよだつ。
なるほど、この男は確かに
体験者を選別する必要がないわけだ。
なぜならこの体験こそ人体実験なのだから。
「ネオワン号が素粒子とイルミナフォースの
塊となってその場から消える。
ポッド移動はああみえてワープではない、
ポケモンの転送装置と同じ仕組みなんだ。
しかし人間はもろい、ポケモンと違って
安定して体を失わずに転送するには
強力なエネルギーを送信元と転送先に
必要とするため、イルミナフォースのある
レンティルの限られた場所にしか
転送装置を設置できていなくてね。
ワープとは違い、体を構成したデータだけ
ではなく構築する物質も転送先に送られる。
つまり亜音速の重力に耐えうる軽量化をして
物体は個の存在を保ったまま移動している。
ポッドはモンスターボールのように
存在を構築している物質をバラバラに
逃がさない役割を果たしているんだよ」