第11章 【報復と復讐】
スラグ・クラブでのディナーを終えた帰り道、クリスが盛大なため息をつくと、ネビルが心配そうに話しかけてきてくれた。
ハーマイオニーは最近、クリスともあまり口を利かなくなり、1人で黙々と勉強をする事が多くなった。
今日のスラグ・クラブでも、2、3言葉を交わしたっきり、ディナーが終わるとさっさと寮に帰ってしまった。
「そうだよね、悩むよね。クリスマスはもうすぐだし」
「ん?ネビル、クリスマスに何かあるのか?」
「え?クリスマス・パーティの相手を探すのに悩んでるんじゃないの?」
ネビルの言葉を聞いて、クリスはやっと思い出した。確か休暇前に、スラグホーン先生主催のクリスマス・パーティがあるんだった。
それには当然パートナー同伴が暗黙の了解で、誰か連れて行かないと大恥をかくことになる。
「そうだった、4年生の時はディーンを連れて行ったんだが……ディーンにはジニーがいるしな」
「僕も同じ。4年生の時、ジニーを誘って連れて行ったんだけど――」
ネビルがそこまで言いかけたその時、お互いの頭に素晴らしい解決策が浮かんだ。
「私と一緒にパーティに行かないか?」
「僕と一緒にパーティに行ってくれない?」
ほぼ同時に言葉が口をついた。クリスはネビルと顔を見合わせ、2人して思わずクスッと笑ってしまった。
「良かった、これで問題が1つ減ったぞ」
「僕も良かった~。クリスはてっきりハリーと一緒に行くと思ってたから」
「ハリーは引く手数多だから、わざわざ私と行かなくても大丈夫だろう」
ハリーが『選ばれし者』として新聞を賑わせてから数ヶ月、今やハリーの人気は天を衝くほどだった。
教室を移動する度、女の子からキャーキャー騒がれるのは当たり前で、近頃では『ハリー・ポッター親衛隊』なるものまで結成されていた。