第11章 【報復と復讐】
そしてその親衛隊のリーダーこそ、新学期の日にコンパートメントに現れたロミルダ・ベインだった。
このロミルダはまるでパンジー・パーキンソンと姉妹ではないかと疑うほど、しつこくハリーに付き纏っていた。そればかりか、ハリーを振り向かせるために『愛の妙薬』を手に入れたという噂が、まことしやかに囁かれていた。
なのでハリーがクリスマス・パーティの相手にルーナを誘ったと聞いて、ハリーにしては良い選択だと思った。
「良かった、ハリーにも女を見る目があったんだな」
「別にそんなんじゃないよ。ただ、その場の勢い?みたいな感じで……気づいたら誘ってた」
「だからって、ルーナ・ラブグッドはないだろう!?」
大広間にロンの声が響いた。仕方ないとはいえ、ルーナをまるで変人のように扱うロンに、クリスはちょっと憤りを感じた。
「良いじゃないか、ルーナ。結構可愛いぞ」
「あのカブのイヤリングとコルクの首飾りと『ザ・クィブラー』さえなければね」
「それを取ったらルーナじゃな――」
「ハァ~イ、ロ・ニ・ィ」
話の途中だったが、ロンの背後からラベンダーが現れ、蛇が絡みつくような動きで両腕を絡ませた。ハリーとクリスはそれをあまり視界に入れないようにして、話しを続けた。
「そう言えばさ、ハーマイオニーが誰を誘ったか分かる?」
「さあ?」
「コーマック・マクラーゲンだよ。ほら、クィディッチ選抜の時、キーパー志望だった」
クィディッチ選抜など、ちゃんと覚えているわけがない。それでもクリスは必死に記憶を手繰り寄せ、ガタイは良いが口の悪い男がいたことをなんとか思い出した。
「あ~、アイツか。あまりにも煩かったから本で頭を殴ったヤツ」
「えっ!?君そんな事したの!?」
「駄目だったか?」
「駄目、じゃないけど……」
そう言いながら、ハリーはクスクス笑った。
「ホント、君には一生かかっても敵いそうにないよ」
「それよりも、ハーマイオニーは何でそんな男を選んだんだ?」
「多分――」
ハリーはそれまで無視しようと努めていたロンを、チラッと見た。つられてクリスも同じようにロンを見ると、ラベンダーと絡み合いながら、まるで「伸び耳」を駆使しているかのようにロンが耳をピクピク動かしていた。
それを知った上で、ハリーはこう言った。
「復讐、じゃない?」