第11章 【報復と復讐】
ハリーの言葉を受け、ロンは自分の両手を嬉しそうにギュッと握ると、勢い良くハーマイオニーの方を向いた。
「何が『私、ちゃんと見たのよ!』だ!ジュースには何も入ってなかった!全部僕の実力だ!!」
「べ……別に彼方の実力を疑ったわけじゃないわ、私は……」
ハーマイオニーが全て言い終わる前に、ロンはフンッと鼻で笑うと、大またで控え室を出て行った。
残された3人の間に、気まずい空気が流れる。誰かが沈黙を破る前に、ハーマイオニーは目に溜まった涙を流すまいと、下唇をギュッと噛んで出て行ってしまった。
「――で?ハリー、何か言う事は?」
「ごめんなさい……」
ごめんで済んだら闇払いは要らないのだと、クリスは大きなため息をついた。
とりあえず、友情を悪用した罪はキッチリ償ってもらおうと、クリスはハリーと一緒にグリフィンドールの談話室に戻った。
しかし談話室は恒例のお祝い騒ぎで、ハリーの姿を見ると大勢がキャプテンであるハリーをハグしたり、試合の感想を言わせようともみくちゃにした。
クリスは人がごった返す中、ハーマイオニーの姿を探した。どうにかフォローしなければ、彼女が可哀想過ぎる。
ハーマイオニーは部屋の中心からやや外れたところで、呆然と立ち尽くしていた。
「どうしたんだ?ハーマイオ――」
ハーマイオニーの視線の先にあるものを見て、クリスは思わず言葉を失った。彼女の視線の先には――部屋の隅で隙間なくピッタリとくっ付き合う、ロンとラベンダーの姿があった。
互いの鼻が触れ合うほど密着した2人を見て、クリスの中で何かがガラガラと音を立てて崩れ去った。
* * *
12月に入り、厳しい寒さがホグワーツを包んだ。しかしその寒さも、クリス達4人の友情に比べればまだ可愛いほうだった。
ロンがラベンダーと付き合った事で、ハーマイオニーとの関係は修復不可能と思えるほど酷くなった。まず、ラベンダーが始終ロンにからみつくので、落ち着いて話も出来なかった。
ロンもロンで、生まれて初めて出来た恋人との関係にすっかり酔っていて、ほんのちょっぴりでも物陰を見つけたら、構わずラベンダーとキスをしていた。
「はあ……」
「どうしたの、クリス?」
「ちょっと悩み事」