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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第9章 【疑惑の渦】


 得意げな女子2人を前に、ハリーは拗ねた表情で『魔法薬学』の教科書を引っ張り出した。

「……別に良いよ、僕にはプリンスがいるから」
「プリンス?」
「うん、この教科書に書き込みした人。ほら、ここに『半純血のプリンス』って書いてある」

 確かにハリーの言うとおり、本の裏表紙に書き込みと同じ文字で「半純血のプリンス」と書いてあった。
 この1ヶ月、ハリーはこの書き込みのしてある教科書のお陰で『魔法薬学』の授業ではクリスはもちろん、なんとハーマイオニーよりも良い成績を残していた。

「それに最近気づいたんだけどね、プリンス様は『魔法薬学』以外の書き込みもしてるみたいなんだ」
「それは便利だな」
「呑気な事言わないでクリス、貴女からも注意してちょうだい。それ、絶対に怪しいわ」
「止せよハーマイオニー、ハリーに負けて悔しいだけだろ?」
「違います!ハリー、ちょっとそれかして!!」

 半ばハリーから奪い取るようにしてプリンスの教科書を手に取ると、ハーマイオニーは杖で表紙をコツコツ叩いた。

「スペシアリス・レベリオ!正体を現せ!!」

 しかし、何も起こらなかった。ハーマイオニーは疑わしげに本をひっくり返してみたり、杖を構えて何度も呪文を唱えたが、やはり本はただの本だった。

「満足した?」
「一応ね。でも、なんで彼女はわざわざ『半純血』なんて残したのかしら?」
「彼女?彼だろ、プリンスなんだから」
「あら、プリンスだから男なんて安直過ぎるわ。それに文字から見ても女性っぽいと思うけど」
「そんなことよりも、そのプリンスが枠に囚われないとても素晴らしい生徒だったことを語ろう!」

 クリスが大真面目にそう言うと、他の3人はしらけた様に自分の宿題に戻ってしまった。

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