第8章 【頼りになる友達】
とっさにハリーとロンがクリスに目配せしたので、クリスは何も言わずに小さく、だがしっかりと頷いた。
「そうなんだ!僕、実は4年生の時から闇払いになりたくて……」
「許せないんだ、生まれだけで人を差別するようなヤツらっって」
とっさの判断にしてはハリーとロンの台詞にやたら熱が入っていたので、思わずクリスは吹き出しそうになってしまった。しかしハグリッドはそうは思わなかったみたいで、勢いよくベッドシーツで鼻をかむと、にっこり笑った。
「お前ぇたちは勇気があるな、それでこそジェームズとリリーの子だ。シリウスが知ったらきっと喜ぶぞ。アイツから手紙は来てるか?」
「今日来たよ。今はルーピン先生の家にお邪魔してるって」
「ねえハグリッド、騎士団の皆は今どうしてるの?」
「俺も詳しくは知らねぇ。ただもうグリモールド・プレイスは本部として機能してねぇって聞いた」
恐らく、シリウスがおおやけに魔法省に現れて以来、グリモールド・プレイスを本部として使い続けることに大きな懸念が出たんだろう。それくらいブラックという名は魔法界では有名で、同時に沢山の敵を持っているのだ。
だからそんな狙われやすい場所は、いつまでも「騎士団」の本部には使えない。秘密の守り人が万能ではないと言う事実は、既にシリウス自身が証明しているのだから。
ハグリッドが少し元気になったのが分かると、みんなでクィディッチ選抜の時の話しや、新しい授業の話しをして盛り上がり、夕方にはホグワーツ城に戻った。
今年に入ってから再び学校の警備が強化され、夕方以降は城の外に出てはいけないという決まりだった。