第8章 【頼りになる友達】
――と思っていたら、1匹のメンフクロウが、全く同じ封筒をハリーとクリス宛てに運んできた。
裏返すと、名前の代わりに犬の肉きゅうスタンプが捺してあった。それを見てクリスは思わず笑ってしまった。
「ハリー、これって……」
「うん、シリウスだ!」
手紙には、今はグリモールド・プレイスを離れてルーピン先生の家で厄介になっていると書いてあった。それから、今は仮釈放の身だが、無実が証明されたら3人で一緒に暮らそうと書いてあった。
その文面を読んで、クリスはつい頬が緩んだ。ちょうどそこに、図書館に行っていたハーマイオニーがやって来た。
「あら、何か良い事でもあったの?」
「愛すべき僕らのパッドフット様からだよ」
ハリーも嬉しかったのか、口元がにやけていた。紅茶を飲み終えたクリスは手紙をローブの胸ポケットにしまうと、席を立った。
「どこ行くの?」
「図書館。私がクィディッチの選抜なんて見たがると思うか?午後になったらグラウンドに行くから、そこで合流しよう」
「クリス、ハーマイオニーじゃないんだから、そんなに勉強すること無いんじゃない?」
「なんかそれって、とっても失礼ね」
またロンとハーマイオニーのいつもの痴話喧嘩が始まりかけていたので、クリスは逃げるように大広間を出て図書館に向かった。
図書館でお目当ての本を見つけると、クリスは時間を忘れて読書に没頭した。やはり自分は誰かに強制されて勉強するのは性に合わないらしい。
皆とほぼ同じ内容の勉強をしているのに、どれだけ勉強していても全く苦にならないのがその証拠だと思う。去年、魔法が使えなくなった時は絶望したが、これも怪我の功名、と言うやつかも知れない。