第8章 【頼りになる友達】
「僕がダンブルドアと話したのはここまでだよ。続き……は、またあるか分かんないけど」
「それじゃあ、呪文を習ったりはしなかったのね?」
「うん、『憂いの篩』で記憶を見て、ダンブルドアと話して、終わり」
「結構あっけないな」
あのダンブルドアの個人授業というのだから、もっと壮絶で壮大なことをするとばかり思いこんでいたので、少し拍子抜けしてしまった。
期待していた緊張感も無くなった途端、クリスは大切なことを思い出した。
「そう言えば、この間ハグリッドに会ったぞ」
「うっ!!」
「ぐっ!」
「な、何か言ってた?」
「ああ、言ってたとも。なんで自分の授業を取らなかったんだって。でも安心しろ、フォローしておいたから。明日の土曜に、また遊びにこ来いだと」
「サンキュー、クリス」
3人が3人とも、揃って安堵のため息をついた。どうやら誰もハグリッドに謝罪や弁解はしていなかったらしい。我が友人の事ながら、少し呆れてしまう。
「でも、明日はクィディッチのメンバー選抜がある。僕キャプテンになったから、絶対にこれだけは外せないよ」
「そんなに時間がかかるのか?」
「何人希望者が来るか分からないし……正直、初めてだから勝手も分からない」
「午前中いっぱい使えば大丈夫じゃないかしら?それで、午後になったらハグリッドのところに行きましょう」
そして次の日の朝、クリスが本を読みながら朝食代わりの紅茶を飲んでいると、少し遅れてハリーとロンがやってきた。
2人とも、あまりよく眠れなかったらしい。目の下のクマがそれを物語っている。
当然キャプテンであるハリーの心労は分かるが、それよりもロンの方が重病そうだった。クマも酷いが顔色はもっと酷く、クリスは心配になって声をかけた。
「大丈夫か、ロン?」
「うん……大丈夫。イメージトレーニングならバッチリだし……」
全然バッチリじゃない声でロンが答えた。と、そこに朝のフクロウ達が一斉に飛んできて、生徒達に手紙を届けた。
ヴォルデモート復活のニュースが広まって以来、親達はわが子を心配して頻繁に手紙を送るようになっていた。だが家族のいないハリーとクリスには無縁のものだった。