第7章 【魔法薬学での発見】
「なるほど、なるほど!それじゃあ、君がハリーの言っていた『学年で1番頭が良い、マグル生まれの友達』だね!!確かに、ハリーの言っていたとおりだ!!」
ハリーが何故スラグホーン先生の前でハーマイオニーを褒めたのか。そんなことはどうでも良かったが、それをネタに2人がロンの前で仲良くじゃれ合うのだけは止めて欲しかった。
スラグホーン先生が次の薬を質問するまでに、ロンは少なくとも3回は無言で机の脚を蹴っていた。
「それじゃあ、これが最後だ。……ミス・グレンジャー?」
「私の推論が正しければ、これは『フェリックス・フェリシス』です!別名、幸運の液体!!」
「素晴らしい、パーフェクトだ!!グリフィンドールに30点!!」
加点されると、ハーマイオニーは得意げにちょっぴり顔を赤くした。
それからスラグホーン先生は、フェリックス・フェリシスの大なべの周りを歩きながら、長い人生の中で過去に2度飲んだ時の経験を言葉少なめに語った。曰く、『完璧な日であった』と。
それを聞いてひねくれ者のクリスは「胡散臭い」の一言だったが、他の生徒達はフェリックス・フェリシスの持つ効能に完全に虜になっていた。
「ではこのフェリックス・フェリシスの小瓶を――今日の授業の褒美にする。一番調合が上手くいった生徒にこれを贈呈しよう。課題は『生ける屍の水薬』だ、制限時間は1時間。では――始め!」
開始の合図と同時に、みんな教科書をめくって物凄い集中力で調合に取り掛かった。クリスは、まあ貰えるものは貰っておこうくらいの気持ちで、静かに教科書を開いた。
全員が調合に取り掛かり、30分が経過したころ。クリスは自分の大なべをかき混ぜながらちらちらハーマイオニーの様子を見た。
鍋の中は紫色の液体で満ちている。ここまでは自分と同じだ。しかし本来なら、薬は淡いピンク色をしていなければならない。
どこで調合を間違えたのか、ここまでのミスはなかったはずだが……。
そう思って、ふとハリーの大なべに目をやると、なんと淡いピンク色の液体になっていた。
(なっ……ハリーの方が進んでる!?)