第7章 【魔法薬学での発見】
「あー……うん。そう言えばマクゴナガル先生がそんな事をおっしゃってたな。ほら、2人ともこれを使うといい。それじゃあ、みんな『上級魔法薬』を開いて」
再び授業に戻ったスラグホーン先生は、幾つもの魔法薬が煮える大なべの間を行ったりきたりした。
「授業が始まる前に、将来の指針になるべくお手本を用意しておいた。7年生の終わりには、みんなこのような複雑な魔法薬を煎じる事が出来るようになっていると祈っている。――さて、ここで問題だが、この薬が何だか分かるものはいるかね?」
誰よりも先に、今度こそ誰よりも先に、ハーマイオニーの手が上がった。
スラグホーン先生はちょっと面食らった表情をしたが、他の生徒達は既に100回は見ている光景だったので、別段、誰も驚きもしなかった。
スラグホーン先生に指されると、ハーマイオニーはいつものようにキビキビと答えた。
「それは『ベリタセラム』です。真実薬とも言い、無色無臭で、この世で一番強い自白剤と言われています」
「よろしい!大変よろしい!」
スラグホーン先生は満足げに笑って拍手をした。そして次の大なべを指した時も、例に漏れずハーマイオニーが誰よりも先に手を上げ、先生が指す間もなく勝手に答えた。
「はい!『ポリジュース薬』です」
「おおお!結構、結構。では、これは分かるかな?」
「『アモルテンシア』魅惑万能薬です!」
「素晴らしい!では、その効能を述べてみたまえ」
「簡潔に言うと、他者の興味を自分にだけ向けさせる、世界一強力な愛の妙薬です」
「はっはっは!素晴らしい、素晴らしい!!」
感激のあまりスラグホーン先生が大げさに拍手をしすぎて、それがまるでクリスにはセイウチが手を叩いているように見えてしまった。
それからスラグホーン先生はハーマイオニーの優秀さに魅かれて、名前を調べようとそれまでお飾り同然だった出席簿を見た。
「失礼、ミス……えー、グレンジャー?ひょっとして、ヘクター・ダグワース・グレンジャーのご親戚かな?超一流魔法薬師協会設立者の……」
「いいえ、関係ありません。私はマグル生まれですから」
ハーマイオニーがさも当然の事の様にそう言うと、何が気に入ったのかスラグホーン先生は興奮したように顔を真っ赤にし、目をランランと輝かせてハーマイオニーに詰め寄った。