第1章 The summer vacation ~Charlie~
家に帰ると、同じくロンの友達で、女の子のハーマイオニーが来ていた。この子とは一昨年クィディッチ・ワールドカップを観戦して以来だ。
「久しぶりね、チャーリー」
「やあ、久しぶりハーマイオニー」
ふわふわの茶色い髪が特徴のハーマイオニーは、俺の顔を見ると屈託なく微笑んだ。
そうだ!俺からよりも、ハーマイオニーからクリスへこの髪飾りを渡してもらったらどうだろう。
女の子同士話しが弾むかもしれないし、気軽に受け取ってくれる気がする。
俺は嬉々としてハーマイオニーに計画を打ち明けた。
「あら、それならやっぱりチャーリーから渡さなきゃ。折角の贈り物なんですもの」
「いや……俺は一度怒らせてるし……」
「それなら尚更よ。クリス!ちょっと来て頂戴!」
「えっ!?い、今すぐ!?」
俺はまだ心の準備が出来ていなかったが、そうこうしている間にガレージからクリスが姿を現した。
手にはマグルの家電雑誌を持ったままで、もう怒っている様には見えなかったが、俺の顔を見るとちょっと機嫌が悪そうな顔をした。
「来てたんだな、ハーマイオニー。どうした?」
「チャーリーから貴女に、贈り物があるみたいよ」
「贈り物?」
「あっ、いやっ、そっ……そのっ、ほら、さっき怒らせちゃったから、そのお詫びとして……」
困った、女の子に贈り物なんてしたことないから、何て言って渡せば良いのか分からない。
あたふたしている俺の目の前に、クリスがやってきた。
分かっていたが、こうして間近で見るともの凄い美少女だな……。
肌なんて俺とは比べ物にならないくらい白いし、顔も小さいし。でも目が大きくて、まつ毛なんて普通の人の2倍はありそうだ。
――なっ、なんて考えてる場合じゃない。変な考えを振り払うように、俺は頭を振った。
「あの、これ。お、女の子はこういうのが好きだって聞いて、その……もし、気に入ってもらえれば……」
「これは……バレッタ?」
「しゅっ、趣味じゃなかったらハッキリ言ってくれて良いんだ。ただ……」
「いや、嬉しいよ。ありがとう」
「そ、そっか……」
クリスの目元が少し柔らかくなって、俺はホッとした。
あぁ……なんか俺、いつもの仕事の3倍くらい疲れてる気がする。こういうのはガラじゃないんだよ、ホント。