第1章 The summer vacation ~Charlie~
【Mission2】
久しぶりに訪れたダイアゴン横丁は、以前ほど活気が感じられなかった。
それもそうだ、魔法省が『例のあの人』が復活したと正式に発表したんだから。誰もが怖がって外に出たがらない。
そんな中、ひときわ目立つ看板が目に入った。『ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ』略して『W・W・W』フレッドとジョージの悪戯専門店だ。
他の店は人気がなくガランとしているのに、この店には沢山の人が集まっていた。
弟たちの店というのもあるし、俺は気負う事なく店に入った。
「いらっしゃ――!……なんだ、チャーリーか」
「めずらしいな、チャーリーがここに来るなんて」
「うん、まあ……ちょっとな」
一瞬こいつらに相談を持ち掛けようかどうしようか迷ったが、よく考えてみれば、元は同じ寮生でお互い知らない仲じゃない。
俺1人で悩むより、よっぽど良い案が出るんじゃないかと思って、思い切って相談をしてみた。
「なるほど、クリスを喜ばせたい、か……」
「そいつは良い考えだぜ。アイツもアイツで苦労してるからな」
あのフレッドとジョージが誰かを思いやるようなため息を漏らすのを聞いて、俺は思わず感動した。
あぁ……2人とも成長したんだなぁ、昔は人をからかってばかりいたのに……。
2人の成長に感じ入った俺は、ジニーの話しも含め、何か良い贈り物はないか尋ねた。
「丁度良かった!」
「実はさっき入荷したヤツなんだけど……」
そう言ってジョージが差し出してきたのは、綺麗な髪留めだった。たしか、バレッタ……とか言うんだったか。
あまりこういった物に詳しくない俺でも綺麗だと思うんだから、きっとクリスも気に入ってくれるだろう。これをきっかけに、少しでも寂しい心が慰められればいい。
俺は2人に礼を言って、髪留めを持って家に帰った。その背後で、フレッドとジョージがガッツポーズをして喜んでいたのなんて、知る由もなかった。