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ハリー・ポッターと夢幻の探究者

第6章 【空を仰ぐ】


 よし、これは小さいが、確かに将来の目標に向かって一歩前進したぞ。
 クリスはグッとこぶしを握ると、マクゴナガル先生に深々と頭を下げた。

「ミス・グレイン――」
「は、はい!」
「良い顔つきになりましたね」

 それだけ言うと、マクゴナガル先生は大広間に入っていった。

 ――今、マクゴナガル先生に教師としてではなく、ひとりの人間として褒められた気がするんだが……。
 クリスは試しに右手で自分の頬をつねってみた。痛い。と、言うことは夢じゃないんだ。

 認められるという事が、こんなに嬉しいことだとは思っていなかった。
 クリスは喜びのあまり、暫くその場から動くことが出来なかった。


 マクゴナガル先生との進路相談から10余分。クリスが喜びの余韻に浸りながら、大広間で朝の紅茶を飲んでいると、ハリーたちがやって来た。

「お早う」
「あれ?クリス、何でこんなに早いの?」
「ちょっとマクゴナガル先生と進路相談」
「えっ!?貴女もう受けたの?失敗したわ、私ももっと早く来て先生とお話しすれば良かった」
「心配しなくとも、食事が終わった後でも十分時間はあるよ」

 ロンの言うとおりだった。3人の食事が終わっても、毎年この日に配られる時間割表がまわってくることは無かった。
 何故ならば6年生以上は『O・W・L』試験の結果によって一人一人科目が異なるので、個別に配られる所為で時間がかかるからだ。

 マクゴナガル先生が時間割表を持ってクリス達のところにやってきたのは、1時間目が始まる少し前だった。
 ハーマイオニーは青い顔でマクゴナガル先生を見たが、そもそも『O・W・L』で全科目合格している彼女に今更相談すべきことは何もなかった。
 ハーマイオニーは時間割表を受け取ると、急いで1時間目の『古代ルーン文字学』のクラスに向かった。
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